ふぅ~、2018年10月にLIV INNOVATIONを起業して以来、ずっと不安に思っていた確定申告をさきほどやっと終えました。ここ数年で一番の達成感です。本業のエンジニアとしての仕事での達成感とは比べ物にならないレベルですね。
さて、ここでは自身の備忘録も兼ねて簡単に流れを記載しておきます。また、ここでの話は個人事業主(Enskild firma)の話で合って株式会社(Aktiebolag)ではないのでご注意下さい。
そもそも、確定申告(Deklaration)の部分だけ切り取って話をするのは少々難しく、前段階として起業の手続きがあり、その後はBookkeeping(簿記?)を正しくやっていることを前提に話を進めます。
私はBookkeepのソフトはBokio - Gratis bokföringsprogram, fakturering och löneprogramを使用しました。基本的に無料で使えるソフトですが、あれこれ相談に乗ってもらったり、それこそ確定申告を手伝ってもらうとなると数万円の料金が発生します。
<2020年7月30日追記 Moms(VAT)について>
付加価値税Moms(VAT)の取扱いは大きく分けて以下の3つのパターンに分かれる
①取引相手がスウェーデン国内 (これはシンプルで簡単)
②取引相手がスウェーデン国外だがEU域内 (これ面倒)
③取引相手がEU域外 (Moms/VATのことはあまり考えなくてよい)
今まで私は①と③のパターンしかなかったが、ここ数ヵ月はYouTubeの広告収入があり、Google Irelandから毎月収益が振り込まれるようになった。
そこで税務署に問い合わせたところ、以下のような処理(Periodisk sammanställning)をしないといけないとのこと。
・EU域内の国の会社に商品を売った場合
→毎月25日までに前月分の売上、相手のVAT番号等を記載したファイルをSkatteverketに送信しないといけない(紙でやりたい人は20日まで)
・EU域内の国の会社にサービスを提供した場合(YouTubeの広告収入はこれに該当)
→4半期に一度、売上や相手のVAT番号等を記載したファイルをSkatteverketに送信しないといけない(紙でやりたい人は20日まで)
つまり、EU域内の国の会社にサービスを提供した場合はこういうこと。
1-3月分⇒4月下旬まで
4-6月分⇒7月下旬まで
4-9月分⇒10月下旬まで
10-12月分⇒翌1月下旬まで
これはMoms deklarationとは別物で、私の場合Momsの申告は年に一度となっているので4半期毎にやる必要は無し。
ちなみに、Periodisk sammanställningをSkatteverketにWeb上で送信するには、Skatteverketにログインし、Periodisk sammanställningを検索してもいいし、マイページ的なところから探してもよい。とにかくテキストファイルを添付して送らないといけないのだが、中身は以下の通りで極めてシンプル。
以下、各部の説明
基本的にセミコロン;で区切っていく。
SKV5740 ⇒ 書式の特定。Periodisk sammanställningですよーという意味になる。08は何なのか不明。
************ ⇒ 12桁の自分のorganisationnummer。
20-2 ⇒ 2020年第2四半期。例えば2030年の第三四半期なら30-3と記載。
Tomoya Yoshizawa ⇒ 自分の名前
07401234567 ⇒ 電話番号(これはデタラメの番号)
Email address ⇒ 後でメールが来るのかしら
IE6388047V ⇒ 売上相手のVAT番号。ちなみにこれはGoogle Irelandの番号。セミコロンが三つあるのは売上げたのがサービスだから。もしも商品だったらセミコロンは一つだけ。セミコロン二つの場合はよく分からない、Credit...??
3088 ⇒ 6月に売上た金額を記載、もちろんスウェーデンクローナで。
726 ⇒ こちらは5月に振り込まれた金額。
これを昨日Web上で送信し、今朝Skatteverketに電話確認し、実際に見てもらったら「大丈夫よ、ちゃんとできてるわ」とお墨付きをもらいました。
本来であれば期日が24日でしたが、「今年は色々あるし一週間ぐらい遅れたってどうってことないわ」と言ってもらえ一安心。
というわけで次回は10月下旬に7-9月分の売上をPeriodisk sammanställningとして送らないといけない。
詳細は↓Skatteverketホームページにて。
Periodisk sammanställning för varor och tjänster | Skatteverket
そもそも、何故こんなことをやらないといけないか。それはGoogle Irelandがスウェーデンに対してしっかりとVAT/Momsを払ってくれたかを確認する為。私がPeriodisk sammanställningをSkatteverketに提出しないと、Skatteverketは私がアイルランドから売上があり、アイルランドの会社がスウェーデンに対してVAT/Momsを支払う義務が発生してりうことが伝わらなくなる。
YouTubeの広告収入は、私がいちいち請求書を起こしてVAT/Momsをチャージしているわけではない。Google IrelandがVAT/Momsは処理してくれる。だが、Periodisk sammanställningはSkatteverketに対する私の義務。
この義務を怠ると1250krの罰則があります。例えば毎月何かしらの商品をEU加盟国の企業に販売し、Periodisk sammanställningを丸一年しないと1250x12=15000krの罰金となるということです(私の理解では)。
どこからどこまでが罰則の対象となるかで金額は変わってくると思います。
私の友人もこれを怠ったが故に罰金を払ったと言っていました。「そんなこと知らなかった」と言っていましたが、残念ながら"知らなかった"では済みません。
【確定申告を始める前に】
1 会社の口座の額とBookkeepソフト上の金額が一致していること
もしズレているとなればどこかに間違いがあるのでそれを修正しないといけない。
2 領収書等が全て保管されているか
領収書等、会計に関するものは7年間の保存義務がある。オンラインの請求書や領収書はスクリーンショット等で保管。印刷してファイリングまでしておけば完璧だと思うが私はそこまでやっていない。要は後に税務署に突っ込まれた際に彼らが納得する形で説明ができることが重要。自分がやっていることの目的を常に把握しておくことが重要。外国語だからといって、"何をやっているか分からない"というのは言い訳にならない。
3 付加価値税申告(Momdeklaration)を終えておく
確定申告より後にやることが可能な場合もあり、実際に私もこれに該当したが先に終えておいた。Momsの申告は毎月、4半期に一度、年に一度と頻度を選べるが、売上の大きさ等で制約がある。勘違いや誤解により申告漏れがスウェーデン人の間でも頻発しているので要留意。
また、スウェーデン国内の取引、EU域内、EU域外と取引のエリアに応じてMomsの扱い方が変わってくることも留意すべき点。Momsはとにかく複雑。でも間違えるとペナルティが発生するので自信が無い人はプロの会計士にお願いするしかない。私の場合は会計士を付けることなく自分でやり切った。
これもBookkeepのソフトから必要な情報が得られるし、専用のファイルを出力できるのでSkatteverket(税務署)のHPで簡単にアップロードできる。承認はもちろんBank ID(電子決済のこと)。
4 Årsbokslut(年末会計?日本語訳不明)
会計を締める作業。これもBookkeepのソフトで行う。ソフト上のプロセスに従えば作業自体は簡単だ。但し、各売上や支払いが後にどういった項目に分類されているかを確認しておくこと。プロの会計士でもないので、全てを完璧に理解する必要は無いが、せめてどんな項目があるかぐらいは把握しておこう。
【確定申告はいつやるの?】
毎年3月上旬から確定申告が可能となる。最終日は5月上旬なので、この2カ月の間でしか確定申告はできない。私はとにかく不安だったので年明け早々に上記4のÅrsbokslutを友人の協力を得ながら終えた。その過程でMomsdeklarationを行う為にMomsregistrationを急いで行い承認を得た。
※起業当初私はMomsの取扱いを申請しなかった。スウェーデン国内での売上げが30000kr以下であればMomsの取扱いを省略できるからである。しかし私は昨年、日本のクライアントにMoms=付加価値税25%を請求してしまった。これを正しく処理する為にMoms取扱いの申請をする必要があった。
【具体的手順】
個人事業を副業として行う場合、つまりFA-Skattに分類される場合の確定申告のイメージは以下の通り。
A 本業:会社員としての税申告
B 副業:個人事業主としての税申告
確定申告はAとBを同時に行う。
つまり、Skatteverket(税務署)は一人の人間が2つの税申告をまとめてやっているという位置付けで扱う。株式会社であれば二つの確定申告となるが、個人事業主の場合は一つの確定申告となる。
① Skatteverket(税務署)HPから個人ページログイン
これは簡単。Bank IDでいつものようにログインすれば良いだけ。誰でも簡単に確認ができる。赤枠で囲んだ部分が「まだ終わってませんよ」の表示。個人事業主としてBilagorというのを申告しないといけない。
② 本業の収入やその他ローン減税等の項目を確認
左から二番目のタブKontorolleraで本業の会社員としての収入や、社会保険庁から給付された育児休暇等の手当の額が予め記載されている。だがここに個人事業主としての所得がまだ記載されていないので、ここをこれからやっていく。
③ 続いて副業での利益や社会保障費等を記入する
ここが少々厄介。ここで必要になってくるのがNE Bilaga(日本語訳不明)というもの。これは先ほどの記載の通りBookkeepソフトでrsuファイルを出力しSkatteverketのHP上でこれをimportするか、Skatteverket上のオンラインプログラムで一つ一つ項目を記入していくかのどちらかだ。私は後者のやり方で行った。具体的にはSkatteverketの↓が参考となった。特にExampel Håkans motivlackeringを見てみたらNE Bilagaが何のことなのかが分かった。
Hur du fyller i NE-bilagan | Skatteverket
日本でも同じものが存在するはず。しかし私は会計知識がゼロなのでそれが何と呼ばれるものなのかが不明。。。
しかしこのオンラインのプログラムが優れもの。Bookkeepソフトで得られた情報を項目ごとに数字を記入していくだけ。最後にワンクリックで社会保障費(Egenavgifter)を計算する機能があるので、これをポチっとすれば利益から社会保障費が引かれて最終的な所得が計上される。本業での稼ぎの額にもよるが、私の場合は4割近く持っていかれた・・・トホホ。
さて、まずはBilagorタブをクリックするとこんな見た目となる。右側の緑枠内にBelopp få att tillbakaとあるが、「戻ってくる金額」の意味。今の段階、つまり個人事業主としての所得を計上する前の段階では15770krが戻ってくることになっている。
Ej klarとは未完という意味。その隣の黄色くハイライトした部分をクリック。
下記記載の1,2,3の順に進めていけばOK。
1は簡単。個人事業としての概要を入力するだけ。申告の対象期間であるとかその他諸々あるがここは困るところではないので割愛。
2をクリックするとこうなる。これはBook keepingのソフトで出力した数値をそのまま入力させていけばOK。rsvファイルをインポートしてもOKだが何故か私のソフトBokioはこれに対応していない。無料版だからかな。
3のBeräkning av skattemässigt resultatは税金的な結果の計算という直訳。既にこれまでのプロセスで各項目に数字の羅列が入力されているので基本触らないでOK。だが、もし間違えてBokförening(帳簿を付ける?)をした場合にここで修正が可能(だと認識)。
最後の最後に何やらチェックボックスにレ点を入れるところが3か所ある。ここはSkatteverketに電話をして聞いてみた。ぶっちゃけ何が何だか分からないがとにかく3か所レ点を付けておけばよいとの結論に至った。去年もこれで申告をして文句を言われていないし、まあ良しとしよう。何やら年金だのEgenavgifter(社会保障費)の計算を自動でやってくれる機能のようで。
最後に全体像を眺め、自信があれば送信。これもBank IDでできる。
念のためInkomstdeklaration 1とEnskild näringsverksamhet(NE)の両方を確認しよう。
④ 最終確認をしてSkicka in(送信)!
Skicka inをクリックするとBankIDを立ち上げろと出てくる。
スマホのBankIDで承認をして終了!!!!お疲れ様でした。
かなり大雑把だがおおまかな流れはこんな感じ。個々によって条件ややることが多少変わってくるが、今後スウェーデンで起業する方の参考になればと思い書いてみた。
まさか自分が異国で個人事業主の確定申告をやるとは全く想像すらしていなかった。しかし、何事も経験。自ら課したこの試練を乗り切ったことでまた一つ自信につながったし、スウェーデン人の友達にもアドバイスができるようになった。
まぁ、まだ申告をしただけできちんと受理をされた訳ではないので喜ぶにはまだ早いのだが。。。
Skatteverket以外にもこちらのサイトが非常に参考になる。私も穴が開くほど読んだ。
"För dig som driver eller vill starta företag"=会社を経営している人またはこれから始めたい人の為のサイト
https://www.verksamt.se/
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LIV INNVATION代表 吉澤智哉
tomoya.yoshizawa@liv-i.se
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■ このブログを書いている人
吉澤智哉
2016年にストックホルムへ家族で移住し、現地企業 Öhlins Racing ABでエンジニアとして働く傍ら、スウェーデン企業への転職・移住サポート事業LIV INNOVATIONの代表を務める1981年生まれの38歳、二児の父親です。
自己紹介 - スウェーデンに家族と共に移住したエンジニアのブログ
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