スウェーデンに家族と共に移住したエンジニアのブログ

娘の教育と妻のキャリアの為にスウェーデンへ移住。

転職と転社

f:id:sverigeyoshi:20161108025352j:plain

ストックホルムにも冬がやってきました。写真は我家のバルコニーからの眺めです。

 

さて、今回は「転職と転社」の違いについて書いてみます。

(転社という言葉は私が勝手に思い付いた言葉です)

 

私はこの、“転職”という言葉の定義に違和感を覚えています。

 

私自身、新卒で日系自動車メーカーに入社→外資系自動車メーカー日本支社→スウェーデン企業と、転職を2度行ってきましたが、会社が変わっているだけで、やっていることはさほど変化がありません。結局、社会人デビューしてから今まで、自動車業界のエンジニアとしてやっていることはさほど変わらないんです。

 

図面を描いたり見たり、生産現場を観察したり、会社は変われど、常に「高品質なものを大量生産するプロセス」のどこかにいることに変わりはありません。

何というか、野球選手がチームを移籍して、外野をやってみたり、内野をやるのとあんまり変わらないと思います。

 

このように、自分が所属する会社だけが変わって、やることが本質的に変わらない場合は”転社”という言葉を用いるべきだと思います。

 

転職は文字通り、職業を変えないと転職にはなり得ないのではないでしょうか。私がエンジニアを辞めて農家になったり、政治家になったり、野球選手になったらそれは間違いなく転職となるでしょう。

また、こういった転職は当然転社よりもリスクが高いということは明白です。やったことがないことにチャレンジするわけですから。

 

つまり、転職とひとえに言っても、業界と職業の変化度合いでリスクが変化します。

 

・同業界で職業も変わらない→これは転社に過ぎない

例:トヨタ→日産 研究開発→研究開発

 

・異業種で職業もまるで違う→これぞ本当の転職

例:トヨタ→ヱスビー食品 研究開発→経理

 

特に、終身雇用が前提の業界の人からすると、私のような2回も転職をした人は異端児に見えるようですが、私からすれば、まず転職ではなく、2回とも"転社"をしているだけです。自分ができることを理解した上で、雇用主と契約を結んできたに過ぎません。

 

また、国や言葉が変わっても"転社"であればさほど心配することではありません。転職をしていない私は、異端児どころか極めて保守的な人なんです。他の職業で食べていく自信がありません。

 

私は高校生の頃からバイクや車が好きで、大学では機械工学を学び、エンジニアという職にそれなりの拘りがあります(向いているかどうかは別として・・・)。

ですが、新卒から定年まで一つの会社でエンジニアとして勤め上げるのは、決して簡単ではありません。

 

ある日突然全く畑が違う部署に転属されるのもよくある話です。つまり、同じ会社の中で、転職が行われているのです。

 

本人の希望であったり、その先のキャリアが見通せればなんら問題はないかと思いますが、もし、その配置転換が本意でないのであれば、会社に対して文句を言うのではなく、”転社”をすれば良いだけのことです。

 

文句を言うなら辞めてしまいなさい!と。

 

転社とは、言い方を変えれば勤務先が変わり、周りの人も全てリセットされ、新たな環境で自分の好きなことへチャレンジできるのです。まぁ、退職金や企業年金などいろいろと問題が出てくるのですが。。。

 

スウェーデン人は5-10年ほどで働く環境を変えないと自分自身がダメになってしまう、毎日が同じ繰り返しでハングリー精神が失われる、といった理由で転社をする人が沢山います。

 

また、出世の為に転社をするのも一般的です。上のポストが空くまで待つのも一つの手だと思いますが、自ら欲しいポストを他の環境へ探しに行くのもスウェーデンでは一般的なことです。

 

また、数年経って元の会社に戻ってくるパターンも多く存在します。私の周りにも何人か出戻りの人がいます。中には2回や3回も出戻りを繰り返す人もいます。その反面、少数ではありますが、一社にずっと残る人もいます。

 

スウェーデンは、社員一人ひとりが常に生き生きとヤル気に満ち溢れて働ける社会に近いと思います。同僚で会社に対して文句を言う人はいません。文句を同僚に聞かせている暇があれば、本人はとっとと辞めていくだけなんだと思います。

 

退職金が存在しないことで企業に対する依存度が下がり、個人がライフスタイルやその都度やりたいことに合わせて自由に会社を選べた方が、私は世の中がもっと効率的になると思います。文句を言う人が減るわけですから。

 

まずは日本でも”転社”という言葉を一般的にし、会社間の行き来を自由にし、文句を言う人が減っていけば、国としての労働生産性も上がるのではないかと思います。

 

<余談>

↓は同僚のE君。先日25歳になったばかりだが彼は天才。副業として自分でレースエンジニアの会社を運営していて、スウェーデン国内選手権のプロチームと契約をし、チームの監督もやっています。そんな彼はFIKAの時にみんなのコーヒーを一度に大量に運んでくれます。今回は2段詰みですが3段まで詰めますw

f:id:sverigeyoshi:20161108024649j:plain