↑先週、記録的大雪となったので雪だるまを作りました。ストックホルムって意外なことに11月、12月は雪が降らないんですって。
雪が降ると外が明るくなってとってもハッピーな気分になります。
さて、ここからが本題です。
先日、スウェーデンに来て初めて風邪を引いてしまい、会社を休みました。
(こんなことすら新鮮!あはは)
休暇の制度が日本とは全く異なることを体感したので書いておきます。
まず、風邪を引いても有給休暇を消化とはなりません。突発有休というものが存在しないのですね。
同僚や近所の人たちにも聞いてみましたが、他の会社でも同様です。
風邪に限らず、病気や怪我で短期または長期間出社できなくなるとどうなるのか、簡単に書くと以下の通りです。
(これは私の場合。所得や業種によって多少異なる点あり。)
<風邪を引いた・怪我をした場合>
初日 無給
2-14日 会社より80%の給与が支給される
15-90日 社会保険より職業に見合った手当て+会社から少々(≒給料の80-90%程度)
90日以降 社会保険より職業に見合った手当て(≒給料の70-80%程度)
※1 職業に見合った手当てというのは、必ずしも現在の給与を保証する訳ではなく、世の中一般的に見てその職業がどれぐらいの賃金であるかを社会保険庁が決めているということ。給与との差額を補填してくれる保険も有るが、私の周りでは誰も入っていない。
※ 15日目以降は医師の診断書が必要で、医師が定めた期間は社会保険庁より保障が受けられる。
<子供の具合が悪い時>
また、子供が風邪を引いた場合に私が会社を休んだとすると、これもまた有給休暇とはならず、収入は社会保険で保障されます。数日であれば診断書の提出も必要ありません。ちょっと面白いのが、子供の面倒を見るのは祖父母でも良くて、何ならご近所さんでもこの保障が受け取れます。税金さえ払っていれば誰にでも権利があるということです。
これは形だけの制度だけでなく、実際のところ管理職含め、同僚のみなさんはけっこう休んでいます。それも1日や2日ではなく、一週間ぶっ続けで不在というのもよくあります。
特に小さいお子さんがいる家庭はお約束のように家族が順番に風邪を引いていきますよね。全員が完治するのには確かに一週間ぐらいかかると思います。
このように、会社を休むことに対して抵抗は無く、職場の理解もあります。スウェーデンでは、自分や家族の体調が少しでも優れない時は家にいるべきだと考えられています。
マスクを付けてゴホゴホしながら「俺頑張ってるぜ!」とモーレツ社員を演じても迷惑なだけなんです。会社は病原菌を持ってきて、周りに迷惑をかけるところではないのです。また、休み明けも申し訳無さそうに出社することもありえません。
(そう言えば、「日本人はなんでみんなマスクを付けてるんだ!?空気が汚れてるのか!?」とよく聞かれます)
この制度を悪用することも可能なのでしょうが、社会全体が市民を信用し、会社は従業員を信じていることが感じ取れます。
こういう風にリターンが身近に感じられるというか、みんなで助け合っている実感があるので、私としては税金の高さに全く文句はありません。
<有給休暇>
そもそも、有給休暇とは従業員に与えられた権利であり、仕事から離れてリフレッシュし、会社では常にベストなパフォーマンスを出しましょうというのが趣旨です。
ちなみに、私の有給休暇は6週間あります(スウェーデンでも少し多い方かも)。日本だと30日と言うところ、スウェーデンでは必ず○週間と表現します。それは有休を単発で取る文化になく、必ず5日間連続で取得し、1週間で1セットという考え方となるからです。
私は今年、夏休みで5週間使っちゃったのであと1週間しかありません。スウェーデンは休みが多いように思われますが、国民の祝日が少ない為、稼働日(=会社に行く日)は日本にいた頃とあまり変わりません。
ですが、自分のタイミングで超大型連休を自由に作れるのは大きな違いです。連休スタートは各自バラバラなので、お盆休みやゴールデンウィークの規制ラッシュといったものが存在しません。
(日本では天気だけじゃなくて渋滞も予報できるんだぜ!って言うとすごくウケます)
また、有給休暇期間中に体調を崩した場合は、これまた社会保険庁よりお金が払われます。その分の有休はまた後日に取得することができます。もうね、有休への執念がすごい・・・。
いやー、信じられないですよね。
でもここスウェーデンではこれが当たり前なんです。当然の権利なのです。
<今後、日本は現実的なターゲットを設定できるかが鍵>
これを読んでいる方は、「そんなんで会社は利益出せるのかよー」と疑問を持たれるかと思います。
ですが、スウェーデンやその他欧州の先進国は、概ねこのようなやり方で国として成り立っているんです。一人当たりのGDPや労働生産性は常に日本よりか上位です。
私が思うに、スウェーデンでは企業なり社会なりのターゲットが人間の特性に合わせた現実的なものであるように思えます。本人や子供が風邪を引いてしまうのを前提としたターゲットの設定なのです。
日本だと誰かが休むとなると「ナニィッ!!誰か代わりはいないのかぁ!!いないなら這ってでも出社せい!」となり、這いつくばって出社する美学がありますよね。
そもそもの人間の特性を無視した前提と、無謀なターゲット設定がこうした状況を生んでいるのではないでしょうか。
働き方改革が昨今の話題となっている日本にとって、こういった情報をマスコミ・メディアは報道するべきだと思います。
右に倣えでスウェーデンや北欧諸国の制度をコピー&ペーストしてもうまくいかないでしょう。どちらが良い、悪いではなく、日本には日本の歴史、国民性、やり方というものがあるはずです。
既存の制度を変えるには、みんなで興味を持って議論に参加し、最終的には投票という行為で意思表示をするべきです。スウェーデンの投票率は85%!!
まずは、他の国がどんな風になっているのか、少しでも参考情報を集めるのは決して無駄なことではないでしょう。
私もこのブログを通じて、こういった情報を拡散しようと努力をしていますが、なかなか多くの人の目に止まらないのが現実です。
どなたか良い手段があれば、また、メディア関係にツテがある方がいらっしゃいましたらご教示願います。
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※余談
最近は↓のように、FIKA(コーヒーブレイク)の代わりに外を散歩しています。