3歳4ヶ月の娘が就学前学校(スウェーデンでは幼保一体で幼稚園と保育園の区別無し)に通い始めました。
本日で一週間少々が経過しまして、まあ多少グズグズする時もありますが、うまくやっているようです。
スウェーデンでは、本人の負担軽減として、最初の数日は両親が付き添ったり、その後も父親もしくは母親が付き添うことが一般的です。
詳細は妻のブログに書かれているのでご覧下さい↓
私も数日間に渡り、娘と共に就学前学校へ通った訳ですが、そこからスウェーデンと日本の異なる部分が透けて見えた気がします。
上述の通り、“見えた気がする”だけですし、ここから先は、私が同僚やご近所さん、スウェーデン人の友人から聞いた話を組合わせて思い込んでいる話です。
ですので「へぇ~、スウェーデンってこうなんだぁ」と一般化して解釈するのは少々乱暴ですので、一つのサンプルとして参考にしていただければと思います。
(今回のタイトルを見ると、いかにも学者さんが調べたかのような印象がありますが・・・w)
さて、先週は就学前学校に娘と共に通い、娘がどう馴染んでいくのかを見届けるつもりだったのですが、思いの他、娘は初日から伸び伸びと過ごせたので、私は他の子供と遊んでみたり、施設や設備を観察してみたりと、より広い視野で見てみました。
その結果とにかく感じたことは、規則・決まり・ルールといったものが前面に出てこないことです。
先生がクラス全員の子供たちを集めて、みんなで何かをやりましょう!といった時間も時々あるのですが、まあ小さい子供なので中にはフラフラっとその場を抜け出し一人違うことをやりだす子がいるのですが、そういう子に対して先生は全くお咎め無しです。
もう勝手にしろって感じですね。
日本だとどうでしょうね、おそらく誰かが、例えば別の先生がそういう子の手を引っ張って連れ戻そうとするのではないでしょうか。
「みんなで同じことをやっているんだからあなたもそうしなさい」
というのがそうする理由だと思います。
この点はもはや理屈ではなく、日本人らしさというか、国民性なのだと思います。
他にも色々と感じることが多々ありましたが、この点がスウェーデンと日本で大きく異なると感じました。
スウェーデンでは団体行動においての組織力と言ったら大げさですが、みんなで何かやろうとする時のまとまり具合は、日本と比べて低いように思えます。
例えば会社で同僚とミーティングをした時は、私の経験上、日本だと緊急でもそうでなくとも、必ずホワイトボードに「誰が・いつまでに・何を」と議事録をとって、それを必ず守る文化が暗黙のルールとして存在していました。
軍隊だとかは例外でしょうが、ここスウェーデンではそういった場面にあまり出くわしません。
よほどの緊急課題であれば話は別ですが、ほとんどのケースで期限を明確に区切ることはない気がします。緩いと言えば緩いのですが、彼らスウェーデン人が優先しているのは個人に対してあまりプレッシャーを与えないように配慮しているのだと思います。
実は、この点で私はちょっと苦労しています。自分としては、ミーティングで「○○さんがだいたい△△までにやってくれるだろう」と解釈をしていたとしても、蓋を開けてみたら全く手を付けていなかったなんてことがよくあるんです。
日本人的感覚からすると、「仕事なんだから、今やる・すぐやる・全部やる」なのですが、彼らは違うんですよねぇ…
こうした場合は、相手に催促をする訳ですが、これが簡単ではないのです。
日本だと通用する
「そういうルールですから」
とか
「仕事なんだからさ~」
というのが通用しないのです。
(※もちろん日本にいた時もこんなんで話が進まないことも多々ありましたがw)
例えば、日本では、お役所や銀行などの手続きは、ルールさえ守っていればものすごく早く終わります。
逆に少しでもルールを破ると即アウトです。
(半角で入力するルールに対して全角で入力したとかw)
理由は「そういうルールだから」の一点張りです。「◯◯だからダメなんですよ」の説明がないと思います。
スウェーデンでは、例えばルールから外れていても、事情を説明してゴリ押すことが可能だったりします。
でも、それをやるには背景や目的に加え、相手がそれをやらないと自分や、組織なり会社へどんな悪影響があるのかを説明し、納得してもらわないと進まないのです。
これは上司が部下に対して何かを指示する時も同じです。
単に
「上司の命令だからやれぃ!」
と言っても誰も言うことは聞かないでしょう。
上司からの指示も日本と比べて曖昧で、全体の状況と大まかなターゲットぐらいしか説明はありません。
あとは勝手に良い感じでやってくれってことなのです。
私はこれを自分で考える余地を与えられていると解釈しています。
ただ、あまりにも自由なので、知らないうちに御法度に触れていたり(まぁ御法度なんてあんまりないんですけど)、必要なプロセスをすっ飛ばしていたりと、必ずしも効率的でないような気がします。ですが、(私が個人的に)日本で働いていた時によく言われた、
「アレもダメ。コレもダメ。」
「○○さんは癖があるから気をつけろ。」
「よく分からないけど昔からみんなこうやってるから大人しくそれに従え。」
のようなことが存在しないのは働いていて気分が良いですし、同じ間違いは二度と起こしません。
スウェーデンでは、個性重視で伸び伸びと働けて、思いついたことを割と気軽に試せますが、日本と比べると全体的にまとまりがないというか、みんなバラバラな気もします。
ですが、なんだかんだで期日には間に合っていますし、最終的には期日に間に合わせるようなやり方に切り替える柔軟性もあると思います。
ん~、でもスウェーデンで管理職をやるのって大変だなーって思いますよ。ホントに。
(日本の管理職が簡単だとも思ってません!)
会社だけでなく、社会全体がルールに縛られるというよりも、各個人が合理的な解決策を常に模索しているように感じます。
その結果として、前回書いた超IT社会に行き着くのかなと。
話を元に戻すと、就学前学校での団体行動の様子を見ていて、私の会社での経験とリンクした訳です。
ところで、就学前学校以降の教育は、親としてもまだ直接触れていない為に実態はよく分かりませんが、同僚や友人の話を参考にすると以下の通りです。
(※飽くまで私個人の印象ですからね!)
もちろんこれは一般化した場合の話ですので、スウェーデン人でも創造性の無い人は沢山いるでしょうし、日本人でも想像性豊かな人だって沢山いると思います。
但し、幼少期からの学校教育で、”ルールに従え”とか”みんなやっているんだから"というのが前面に出すぎると、創造性は当然欠如していくのではないでしょうか。
反面、全体の和を重んじる社会となり、必然的に礼儀・マナーや協調性の向上につながっていくと思います。日本のサービス業で感じられるような”おもてなし精神”は世界一だと思います。
スウェーデンだけでなく、諸外国のコンビニやファーストフードの店員の態度の悪さにはビックリします。この点において日本は本当に素晴らしいなと。
ですから、創造性と協調性はある程度バーターの部分があるのかなと。
日本もスウェーデンももう少し適切なバランスの取り方があると思います。どちらの社会も完璧ではないと思います。
娘にはどんな環境になっても、たくましく、そしてグローバルに生き抜いてもらいたいので創造性や問題解決能力をバッチリ備えてもらいたいと思っています。
なので、我々のような思想を持つ親にはスウェーデンの教育思想が合っていると思います。
知識の部分は、詰め込み型か否かの違いです。スウェーデンには偏差値というものが存在しません。
また、学校のテストで「次の1~4から適切なものを選べ」といった選択式やマークシートのものは存在しません。
ほとんどが「○○について論ぜよ」といった漠然とした問いに対して自分の考えを述べるのがテストなんだそうです。
選択式ではラッキーパンチの確率もありますが、論述となると深く理解していないと書けません。
スウェーデンでは、正解は必ずしも1つではなく、色々な角度や観点で見え方は変わるというようなことを学ぶべきだと考えているようです。
また、"1192作ろう鎌倉幕府"のように、何年に何があったかを答える暗記クイズではなく、その中身や過程を重視するようです。
例えば、「何故幕府という形態を取ったのか」とか、「その狙いと長所短所を論ぜよ」のような問題になるはずです。
近代史ならまだしも、まぁ確かに1192年でも何年でも良いですよねぇ。
そう言えば最近、実は1192年じゃなかった!なんてニュースを読んだ気が…
この辺りからも創造性や問題解決能力の違いが出てきそうです。
この点はまた別途書こうと思います。
(皆様から要望のコメントがあれば書きます…)
というわけで、
・教育の入り口である就学前学校
・教育の成果を発揮する場である会社
この二つを無理矢理ですが点と点で結んでみました。
盛大なタイトルの割に、ややまとまりのない記事になったかと思いますが、これ以上書いても余計にまとまらない気がしますので、今回はこの辺で。
やっと湖が凍ったので週末は楽しみにしていた湖上スケートデビューしてきます!!