娘の幼稚園開始と共に、私もスウェーデン語の語学学校に通い始めました。昼間は仕事があるので、火曜と木曜の17:30-20:00の夜間クラスです。
スウェーデンでは、移民も難民も無料で語学学校へ通うことができます。正しくは税金で運用されているので、「スウェーデン語を学び、スウェーデン社会でより活躍してくださいね=いっぱい納税しましょうね!」という意味の先行投資ということになります。
私は仕事の大半を英語でやっています。私の場合は機械部品の設計、製図が主な仕事で、これらは英語で書かれます。日本企業在席時も図面は日本語と英語の併記でした。
また、取引先のほとんどはスウェーデン国外の会社なので、仕様書等の重要な文書は英語で書かれていることがほとんどです。
ですので、仮にこのまま定年まで英語だけで過ごすことも不可能ではありません。
ですが、例えば会社全体の事業方針説明等の大きなミーティングはスウェーデン語で行われる為、もうチンプンカンプンです。その間、何をするかと言うと、映し出されたスライドに出てくる単語をひたすらGoogle翻訳で調べます。
そうすると、何となく何の話をしていて、それが良いことなのか悪いことなのかぐらいは分かってきます。興味のあるところは後で同僚に聞いてみたり。
私以外にスウェーデン語が分からない人は誰もいない為(一人オランダ人がいたかな?)、こうなっています。
メールやその他文章はGoogle翻訳が非常に良くできているので、スウェーデン語を英語にすることでこれまた大半が理解できてしまいます。
でも、同僚同士の世間話は全く訳が分かりません。私もみんなが一斉に笑うタイミングで笑いたいです・・・。
会社の外でも多少苦労はしますが、結局はみなさんほぼ完璧な英語を話してくれるので英語一本でも何とかなっちゃうんです。
なので長いことスウェーデンに住んでいる外国人が、スウェーデン語を全然話せないというのはよくあることです。
私は、本当の意味で会社もしくはスウェーデン社会に溶け込むにはスウェーデン語を話さないとダメだと思っています。(なかなか英語から抜け出せないのですが・・・)
それ以前に、永住するつもりでスウェーデンに来ているわけですから、ここでスウェーデン語を話さないと言うのは選択肢にありません。
前置きが長くなりましたが、これらが語学学校へ通う理由です。「別に英語ができるんならそれでいいじゃん」という方がいたら、そうじゃないんですよ!というのをまず伝えておきたかっただけです。
ところで、スウェーデンに住む、スウェーデン語が話せない人って大きく分けて二つ存在するんです。
一つは私のように、仕事があって自分の意思でスウェーデンへ来た人。
もう一つは昨今話題になっている難民です。
ひとえに難民と言っても様々な背景に分かれます。
母国で高等教育を受けた人、またそうでない人。場合によっては学校に通ったことすらない人も存在します。
日本ではこういった人たちと接することはまずないでしょう。
難民と聞くと日本では「危険な人たち」なんてイメージがあるかもしれませんが、私にはそんなイメージはまずありません。
彼らは文字通り戦火を逃れてきた人たちで、全ての財産を失っている人だっています。ここ数年に限った話ですが、そんな彼らを暖かく迎えてきたのはスウェーデンとドイツです。トルコやヨルダンもそうなのですが。
基本的に、私がこれまで会ってきた彼ら難民は、スウェーデンという国や社会に対してものすごく感謝をしています。そりゃそうです。困っているところを助けてもらえたわけですから。
彼らは早く仕事を見つけ、国から受けている補助・手当てを返したい、更には社会に貢献したいと考えています。もちろん中にはいわゆる”タダ乗り”をしに来ている人もいるのでしょうが、一定数そういう層が紛れるのは仕方のないことだと思います。この点はスウェーデン国内でも世論が大きく分かれているようです。
とにかく、私は週に2回ほど、難民と共にスウェーデン語を学んでいます。
ちなみに生徒の出身国は以下の通り。
アフガニスタン、ヨルダン、イエメン、イラクx2、イランx2、ギリシャx2ペルー、エストニア、ベトナム、日本(私)。
そう言えばシリアの人がいないなぁ・・・
でもって先生はロシア人。ばっちりロシア訛りです!まさかスウェーデン語をロシア人に教わるとは!!
とまぁ、先日、初回の授業があって、びっくりしたことが色々とあるので列挙してみます。
①みんな時間通りに来ない
私のクラスは15人弱の編成なのですが、開始時間に席についてるのは半分以下。その後一人また一人と遅刻してきます。でもって遅刻したくせに全く申し訳無さそうじゃないんです。
②マナーモードにしない
また、遅刻をして、席に着いたかと思ったらスマホをピコピコいじりだします。でもって音を出しちゃうんですよ。ピコピコとかポヨンポヨンとか延々と聞こえてくるんです。マナーモード知らないのかな。
先生が注意するのかなと思っていたのですが、結局最後まで注意しませんでした。
③自分が指されていないのに勝手に答えだす
先生が誰かを指して何かやりとりをすることがあるじゃないですか。そういう時に勝手に割って入ってきちゃうんです。実際にあったのが、先生から私がどこから来たかと聞かれて、全然関係ない他の生徒が
「彼は日本から来た!俺は知ってるぜ!ヤッホーイ!」
とか言い出す始末です。オイオイオイ。
もう何だか、先生の質問には全て答えたい様子で、クイズ番組のように食い気味で何か答えるのですがたいてい間違えちゃっています・・・。
これも先生は最後まで注意しませんでした。
④筆記用具を持ってこない
ノートもペンも持ってこない人たちが3-4人いました。衝撃的だったのが、私が自分の目の前に置いていたペンを隣の人に無言で取られたことです。
で、授業が終わった後に先生に色々と文句を言ってみました。何故諸々の注意をしないのかと。授業を円滑に進めるべく、先生はその努力をするべきだと伝えたところ意外な言葉が返ってきました。
「彼らの中には教育に全く触れたことが無い人もいます。あなたのように、学校では静かにし、他人を尊重して邪魔をしないことが当たり前でない人もいるのです。彼らに静かにしなさいと言っても、何故そうしないといけないのかを説明しないといけなくなります。また、この教室では誰もが自由に発言できるという自由もあります。」
おお~・・・なんだ。なんなんだこの世界は。
「でも心配しなくていいわ。このクラスは数週間で終わる導入の位置づけで、あなたは母国で高等教育を受けた人たちのクラスに合流するの。」
なんだ!なら良いか!これならスマホピコピコ、勝手に発言、ペンの盗難からも逃れられると思います。
と、まぁこんな感じです。
最終的に感じたのは、日本の教育ってすごいよなぁってことです。静かに先生の話を聞ける環境がどれだけ素晴らしいか、スウェーデンの語学学校で難民と共に勉強し、ロシア人の先生とお話した結果、日本の教育から得られるマナーのレベルは世界に誇れるなと。
日本にだって荒れてる学校はあると思いますけど、授業中の私語であったり、スマホをいじるとか、他人の発言機会を奪うことはいけないことだという自覚はあるはずです。
前回のブログでスウェーデンと日本の教育思想の違いについて書いてみましたが、両者とも世界で見ればトップクラスのレベルです。
さて、今年の終わり頃には同僚とスウェーデン語の冗談で笑いたいと思っています。
私には英語のスキルがあるので、スウェーデン語は英語に上乗せするだけで良いのです。日本語と英語ほどの違いはありません。
なので一年で何とかなると思っています。
ただ、やるかやらないかは自分次第。
もう割と話せるんですけどね。
「試作品は日程上スウェーデン製の予定だと理解していますが、量産をアジアで生産する場合にどういったリスクがあるのかみなさんに問いたい」
これを先日会議でスウェーデン語で言ってみたら、みんなから拍手をされました!笑
がんばろっと。