スウェーデンに家族と共に移住したエンジニアのブログ

娘の教育と妻のキャリアの為にスウェーデンへ移住。

どうすれば日本でもスウェーデン並みの働き方になる?→元も子もない話となり最終的に選挙に行こうという話になる

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先日都心のレストランへ行った時。割と真面目な風貌。

 

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普段は平日も土日もこんなです。素敵なキャップを見つけたので思わず購入。

 

 

「どうすれば日本でもスウェーデンのような働き方ができるのか、スウェーデンの働き方を発信してほしい」と割と頻繁に質問をいただくので個人の見解を説明してみます。

 

ちなみに私はスウェーデン在住5年のエンジニア、永住権持ちで子供は7歳と3歳の2人です。

 

これまでこの手のテーマでよく企業や大学で講演をしているのですが、こう説明しています。

 

一企業では働き方は変えられません。

一企業が残業を廃止し、休暇を大幅に増やせばライバル企業に潰されますし取引先もついてきてくれないでしょう。

 

当たり前の話です。

 

法律、社会の仕組み、国民性、幸せの定義・価値観、働く事の意義・定義、スウェーデンと日本ではこれら全てが異なるのでそう簡単に「◯◯すれば全て解決!」とはならないのです。

 

スウェーデンの企業が何か特別なことをやっているのでは!?と思われがちですが、終日黙々と集中しているわけでもなくお喋りに花が咲いてサボる時だってあります。

ただサイン欄だらけの紙を持ち歩いて承認のハンコをもらいにいくなんてことはしませんね。自分で決められる裁量は日本企業よりかは大きいのではないでしょうか。

 

企業が特別なことをしていないとなると何が異なるのでしょう?これを説明していきます。

 

社会ー企業ー個人の距離感

両国において決定的に異なるのは「社会ー企業ー個人」の距離感です。社宅、家賃補助、通勤手当、退職金等はスウェーデン 企業には存在しません。


そういったものは社会、つまり行政が担うべきものです。でないと勤め先によって過剰な格差が生まれます。「福利厚生が〜、安定が〜」と言う大企業思考はスウェーデンには存在しません。

 

また、スウェーデンの人達はムカついた事があればすぐに会社を辞めます。しばらく無職をエンジョイしてまた次の職場を見つけます。多少履歴書に空白があっても「ちょっと疲れたんで」でOK。

 

こうして個人が企業に支配されない為に「社会ー企業ー個人」には適切な距離感が必要なのです。日本ではどうしても企業に対して個人があれこれ"福利厚生"と言って期待するものがあります。しかしその反面、従業員は企業に飼い慣らされてしまいます。企業と個人がズブズブの関係で個人がモノを言いにくい状況となっていると言えると思います。少なくとも私はそう感じていました。

 

というわけで"働き方"改革の時点で私としてはまだまだ小手先だと感じています。"生き方"改革まで考えないと根本解決には至らないでしょう。働くことは生きる手段に過ぎないので土台や屋台骨をまずはしっかりと組み直さないとその上に乗っかるものはどんなに素晴らしくなったとしてもまたすぐグラついてしまうでしょう。

 

つまり社会ー企業ー個人の距離感を見直す必要があります。それをやる前にまずは目指すべき方向性を定めるべきで、日本国民が全員で幸せとは何なのかを考えないといけません。

 

幸せの定義を定め、それを実現する為に財源をどう割り当てるのかを決めるべきです。確かこれを民主主義と言うはずです。つまり政治でしか国民の幸せは実現できません。投票率が4割台の国ではいつまで経っても働き方なんぞ変わらないでしょう。

 

スウェーデンでは誰もが気まずい思いをすることなく育児休暇を取れるように高い税金を払っているとも言えます。

税率は確かに高いスウェーデンですが、日本のように「増税反対!」と延々と喚く野党はいませんし、仮に存在したとしてもそれだけでは政権は取れないでしょう。育児休暇は無くなってほしくないですからね。

 

なので講演の最後は毎度元も子もない話となり、海外移住を勧める形で終わります。

 

日本社会が変わるのはシルバー民主主義が是正されるであろう30年後でしょう。それまでは分厚いお年寄り世代によってコンサバな政策や"とにかく自民党!"の理屈を超えたノリで政治家が選ばれるだけです。投票権に定年でも設ければ別の話ですが人権的観点から不可能でしょう。

 

というわけで日本のアレコレが納得いかない方はとっとと海外へ出る事をお勧めします。

日本の居心地がいいと思っているお年寄りの方が多か、彼らはせっせと投票に行っています。

 

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日本の年齢別人口分布。20代〜40代が突然目を覚まして全員が投票に行けば世の中が変わるかもしれません。しかしこれまでの投票率の推移を見ているとあまり期待できません。

 

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スウェーデンの年齢別人口分布。左が男性、右が男性。高齢者層はそれなりに多いが投票率が85%と高く全世代が投票をするので政治家はお年寄りだけをターゲットにした政策を展開することになりません。


お年寄りにとっては残業とか育児休暇とか男女平等ってどうでもいいですからね…それより年金や医療費や電車バスが安くなった方がいいのでそういう政策を好みます。そして政治家は票田となるお年寄りを見て仕事をします。というか首相をはじめ、みなさんお年寄りですし…自民党の三役の平均年齢が80台後半でしたっけ。

 

とにかく残業したくない、男性も育児休暇取りたい、と思うなら法律や社会の仕組みを変えなつつ、権利を行使できる雰囲気を国民が作らないといけません。

 

ちなみにスウェーデンでの残業時間上限は法律で年間100時間までとされています。日本では国の根幹である某省庁の官僚がコレを一ヶ月で達成してますからまだまだ厳しいでしょう。

 

つまり、冒頭の質問に対する回答は

 

「真面目に民主主義やろうよ」

 

となります。投票率4割台で民主主義を名乗れますか?学級委員を選ぶ時にクラスの半分以上が寝ていたらちょっとマズいと思います。

 

85%の投票率のスウェーデンを参考にするよりもまずはまともな民主主義国家になることが先だと思います。そしてこれは一夜にして解決できるものではないと思います。長期戦になるでしょう。子供の為、孫の為と思って現役世代は身を捧げることになります。

 

 

今、日本に不満を抱いている人がやるべきこと

 

とりあえず投票

若い世代の投票率が100%になれば政治家も若い世代の言う事を聞かざるを得なくなるでしょう。しかしこれがいつ実現するのか、どこにも保証はありません…なので我々はスウェーデンに来ました。5年住んで後悔はゼロです。1ミリもありません。

 

ですが今、投票することは30年後の日本の方向性に影響は与えられるはずです。自分の世代は理想の社会にならなくとも、子供や孫の為を思い、未来の日本の為に投票という意思表示はしておくべきです。

 

なので海外移住できる人はとっととしましょう。自動車、電機残業の理系職で英語が出来る方であれば私が全面バックアップさせていただきます。副業ですが事業として真面目にやっていますのでご興味があればご相談ください。

 

政治を他人事で済ませるな

もう一つ出来ること、というかやるべき事は

 

「政治を他人事として語らない」

 

ことです。

 

日本の人達は「政治家が悪い」とか「野党がだらしない」とか、とにかく政治家を悪く言い、うまくいかないのは全て政治が悪いからだ!という風潮があるように思えます。

 

スキャンダルが次から次へと起き、大臣がコロコロと変わる…外国から見てみっともないと思いませんか。

 

ですが、そんな政治家を選んでいるのは有権者のあなたなのです。文句ばかり言ってないで自分が政治家になればいいじゃんってことです。ですが現実は権力、地盤、金が無いと有力な政治家にはなれませんよね。

この辺りは教育が影響していると感じています。スウェーデンでは高校で政治の仕組みを深く学び、学校で模擬の投票が行われ、開票日と同日に高校生の投票結果が公表されます。

もちろん有権者ではないので実際の結果には反映されませんが、それでも世の中の有権者は高校生がどう感じているかを気にしています。

そして政治家は金や権力は関係なく国を豊かにできるのであれば誰だってよいとなるわけです。民主主義思想を叩き込む教育って本当に大事だなーなんて思います。

 

なんというか、日本の民主主義のことを思うと本当に詰んだ感じです。

働き方だけでなく、どんな国にも色々な課題がありますが、これを政治家が代表して解決していくのか先進国では当たり前となってます。

ですから大小の国難を乗り越えるにはきちんとした民主主義が機能しないと乗り越えられるものも不可能となってきます。

 

働き方改革、夫婦別姓問題、コロナ対策、色々課題はありますが全てに共通するのは政治であり、いずれも国民全員が参加して解決すべき事柄です。みなさんが当事者なのです。

小手先の対策を議論するのではなく、まずは土台となる民主主義の機能を備えるのが日本の急務です。

 

きっと30年後は普通の民主主義となっていることを願いますが、そうする為には今の現役世代が理想の方向からブレないように働きかけを続けないといけないんです。

 

日本維新の会だけじゃないでしょうかね、まともな野党って。彼らが唱えていることって本当普通のことです。他の野党って普通じゃないことばかり叫んでるんで、いやーホントこの国やばいよなーと思わせてくれて、「日本に帰ろう」と思わずに済むわけです。

そういった意味では私に後悔をさせないビジネス野党さんには感謝しかありません。

 

というわけで、小中学校の社会科の教科書を今一度読み直し、議院内閣制やら選挙制度やら、民主主義の仕組みを勉強し直して、お子さんがいれば一緒に投票の意味を考えてみてはいかがでしょう。

 

5年スウェーデンに住んで日本を眺めて日本の課題を語るとすればこんな感じです。出羽守でもなんでもいいです。またそういう訳の分からない言葉を作って型にハメて考えることから避けるのは日本人の得意技だと思います。

 

これをただの悪口と捉えるのか。なるほどそうなのか、と捉えるのか、それはこれを読んだお方の自由です。

私の下らないブログが日本の投票率向上に少しでも役に立てば幸いです。

 

気を悪くされた方、ごめんなさい。

 

すみません、ポジショントークになっちゃいましたね。

 

あ、でも日本って素晴らしい国だと思います。ゴミは落ちていないし治安は良いし。ご飯は美味しいし。でもこれらは全て表面的なことであって観光客にとっては完璧なんです。
でも教育費はかかるし男性は育児休暇取れないんですよねぇ…なので住むとなると…

 

おっと、今回はこの辺りでやめておきましょう。

 

続きはまたいつか。

 

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■ このブログを書いている人

吉澤智哉

2016年にストックホルムへ家族で移住し、現地企業 Öhlins Racing ABでエンジニアとして働く傍ら、スウェーデン企業への転職・移住サポート事業LIV INNOVATIONの代表を務める1981年生まれ、二児の父親です。

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