スウェーデンに家族と共に移住したエンジニアのブログ

娘の教育と妻のキャリアの為にスウェーデンへ移住。

転職と転社

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ストックホルムにも冬がやってきました。写真は我家のバルコニーからの眺めです。

 

さて、今回は「転職と転社」の違いについて書いてみます。

(転社という言葉は私が勝手に思い付いた言葉です)

 

私はこの、“転職”という言葉の定義に違和感を覚えています。

 

私自身、新卒で日系自動車メーカーに入社→外資系自動車メーカー日本支社→スウェーデン企業と、転職を2度行ってきましたが、会社が変わっているだけで、やっていることはさほど変化がありません。結局、社会人デビューしてから今まで、自動車業界のエンジニアとしてやっていることはさほど変わらないんです。

 

図面を描いたり見たり、生産現場を観察したり、会社は変われど、常に「高品質なものを大量生産するプロセス」のどこかにいることに変わりはありません。

何というか、野球選手がチームを移籍して、外野をやってみたり、内野をやるのとあんまり変わらないと思います。

 

このように、自分が所属する会社だけが変わって、やることが本質的に変わらない場合は”転社”という言葉を用いるべきだと思います。

 

転職は文字通り、職業を変えないと転職にはなり得ないのではないでしょうか。私がエンジニアを辞めて農家になったり、政治家になったり、野球選手になったらそれは間違いなく転職となるでしょう。

また、こういった転職は当然転社よりもリスクが高いということは明白です。やったことがないことにチャレンジするわけですから。

 

つまり、転職とひとえに言っても、業界と職業の変化度合いでリスクが変化します。

 

・同業界で職業も変わらない→これは転社に過ぎない

例:トヨタ→日産 研究開発→研究開発

 

・異業種で職業もまるで違う→これぞ本当の転職

例:トヨタ→ヱスビー食品 研究開発→経理

 

特に、終身雇用が前提の業界の人からすると、私のような2回も転職をした人は異端児に見えるようですが、私からすれば、まず転職ではなく、2回とも"転社"をしているだけです。自分ができることを理解した上で、雇用主と契約を結んできたに過ぎません。

 

また、国や言葉が変わっても"転社"であればさほど心配することではありません。転職をしていない私は、異端児どころか極めて保守的な人なんです。他の職業で食べていく自信がありません。

 

私は高校生の頃からバイクや車が好きで、大学では機械工学を学び、エンジニアという職にそれなりの拘りがあります(向いているかどうかは別として・・・)。

ですが、新卒から定年まで一つの会社でエンジニアとして勤め上げるのは、決して簡単ではありません。

 

ある日突然全く畑が違う部署に転属されるのもよくある話です。つまり、同じ会社の中で、転職が行われているのです。

 

本人の希望であったり、その先のキャリアが見通せればなんら問題はないかと思いますが、もし、その配置転換が本意でないのであれば、会社に対して文句を言うのではなく、”転社”をすれば良いだけのことです。

 

文句を言うなら辞めてしまいなさい!と。

 

転社とは、言い方を変えれば勤務先が変わり、周りの人も全てリセットされ、新たな環境で自分の好きなことへチャレンジできるのです。まぁ、退職金や企業年金などいろいろと問題が出てくるのですが。。。

 

スウェーデン人は5-10年ほどで働く環境を変えないと自分自身がダメになってしまう、毎日が同じ繰り返しでハングリー精神が失われる、といった理由で転社をする人が沢山います。

 

また、出世の為に転社をするのも一般的です。上のポストが空くまで待つのも一つの手だと思いますが、自ら欲しいポストを他の環境へ探しに行くのもスウェーデンでは一般的なことです。

 

また、数年経って元の会社に戻ってくるパターンも多く存在します。私の周りにも何人か出戻りの人がいます。中には2回や3回も出戻りを繰り返す人もいます。その反面、少数ではありますが、一社にずっと残る人もいます。

 

スウェーデンは、社員一人ひとりが常に生き生きとヤル気に満ち溢れて働ける社会に近いと思います。同僚で会社に対して文句を言う人はいません。文句を同僚に聞かせている暇があれば、本人はとっとと辞めていくだけなんだと思います。

 

退職金が存在しないことで企業に対する依存度が下がり、個人がライフスタイルやその都度やりたいことに合わせて自由に会社を選べた方が、私は世の中がもっと効率的になると思います。文句を言う人が減るわけですから。

 

まずは日本でも”転社”という言葉を一般的にし、会社間の行き来を自由にし、文句を言う人が減っていけば、国としての労働生産性も上がるのではないかと思います。

 

<余談>

↓は同僚のE君。先日25歳になったばかりだが彼は天才。副業として自分でレースエンジニアの会社を運営していて、スウェーデン国内選手権のプロチームと契約をし、チームの監督もやっています。そんな彼はFIKAの時にみんなのコーヒーを一度に大量に運んでくれます。今回は2段詰みですが3段まで詰めますw

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スウェーデン人の労働生産性は本当に高いのか

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スウェーデン人の労働生産性が高いという記事を時々見かけますが、実際のところどうなのでしょうか。スウェーデン企業に8ヶ月勤めてみて感じたことを書いてみます。

 

“労働生産性が高い”と聞くと、黙々と集中して一気に仕事を片付けるイメージですが、実際はそんなことはありません。雑談だってしますし、ネットサーフィンもします。スウェーデン人はそもそも、一日8時間もぶっ続けで集中するのは不可能だと考えています。

 

ちなみに、私の会社では、一日2回のFIKA(フィーカ)というものがあります。これはスウェーデンの習慣で、みんなで集まってお茶をしようといった感じです。私の会社ではわざわざ就業規則にも書いてあるぐらいの一大イベントです。時間になるとデスクから一斉に立ち上がり、徒歩3分ほどの社員食堂までぞろぞろと移動してみんなで座ってコーヒーを飲みます。↑の写真がまさにFIKAの真っ最中。そして15分経つとデスクに戻り、また一斉に仕事再開となります。

 

このFIKAがちょうど良いタイミングで来るんです。私は、だいたい7:00過ぎに出社しますが、2時間後の9:15に1回目のFIKA。お昼休憩が終わる12:15から2時間後の14:15に2回目のFIKA。そこから2時間働いて16時過ぎに帰宅します。なので2時間に一回休んでいることになり、これがちょうど伸びをしたくなる頃なんです。このリズムに合わせて集中できるように心がけています。ただ、時々このリズムが崩れて、雑談をしてみたりネットサーフィンをしてみたりということだってあります。もちろん個人差はありますが、人間とはそういう生き物なので仕方がないというのがスウェーデン人が大前提としているところです。

 

つまり、スウェーデンという国や社会というのは、「人間が連続して集中して何かをできるのはせいぜい2時間ぐらいで、休憩を含めて一日8時間が限界」と考えていて、従業員は一定の間隔で休憩を取ることが権利として法律で定められています。これはトラックドライバーもオフィスワーカーも同じです。

 

もちろん忙しさには波があるので、FIKAをすっ飛ばしたり、瞬間的に残業をすることはあります。ですが、その後しっかりと休暇を取ってリフレッシュをします。少々大げさですが、スポーツ選手が試合に向けてコンディションを調整するのと同じで、プロ野球で完投したピッチャーが翌日また投げても良い球は投げられないですし、肩を壊して最悪の場合、再起不能になるかもしれないですよね。

 

日本では、人間は常に休まず頑張らないといけないという前提があるように感じます。このような雰囲気ですと、みんなが帰らないと自分も帰れないとか、集中できない時も頑張っているフリをしないといけなかったりで、常にプレッシャーにさらされてしまい神経が擦り減ってしまいます。現に私はそんなにタフではないので、昔は自分でも信じられないようなミスを繰り返した時期があり、明らかに自分自身のコントロールを失っていました。

 

スウェーデンでは、人間とは必ず集中力が途絶えてしまうし、ミスも犯す生き物であることが大前提であり、集中できる環境を整え、ミスを極力減らすことが大切だと考えています。その為には仕事中であってもリラックスし、心を落ち着かせる必要があるということです。また、他人の間違いをあまり細かく指摘しません。資料での誤字脱字等にいちいち文句を言ってくる人はいません。致命的なミスの場合は本人が傷つかないようにやんわりと教えてくれます。

 

 

というわけで、「労働生産性が高い=サボることもなく黙々と集中して働く」というのは違います。

 

現実的な目標に向かって自分自身をコントロールし、集中力の高め方を知っていることが重要なんだと思います。例えば好きな音楽を聴くとか、いろいろあると思います。同僚はみんな仕事中にヘッドホンをしています。業界にもよると思いますが、日本だと仕事中にヘッドホンなんてできないですよね。とにかく、人間は集中できない時はできないんです。そういう時は散歩するなり、帰ってリラックスして、翌日またやればよいのです。またこうした人間の基本特性を互いに認め合う風土が大切です。常に誰かに監視されているプレッシャーを受けていては良いパフォーマンスは出せません。自由に自分のやり方で、自分のタイミングでやるのがスウェーデン流といったところでしょうか。

 

単に労働生産性や国民一人当たりのGDPといった数値で比較するのではなく、その数値が形成される過程にも注目をするべきだと思います。

 

まだ8ヶ月(立派な取材期間だとも思いますが)ですし、この先私の感じ方も変わってくると思うので都度アップデートします。

 

↓同僚の彼とはしょっちゅう雑談を楽しんでしますw

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スウェーデンで車検を通してみた

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先日、マイカーの車検を通してきました。↑のOPUS BILPROVNINGが車検場となります。英語に訳せば、OPUS CAR TESTINGとなります。ガソリンスタンドに併設されていて奥にはマクドナルドもあり、私が住む町にはこういった民間車検場が3つほどあります。スウェーデンでは10年ほど前に車検がすべて民間企業へ委託され、サービス業としての位置付けが濃くなってきているようです。

 

↓中に入るとこうなっています。朝の7時40分に予約を入れました。スウェーデンはみんな朝が超早いんです。この車検場も7時から空いています。飛び入りでもOKですが待たされるでしょう。

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↓中に入って鍵を渡し、コーヒーを飲んで待ちます。すると私の車が入ってきました。事前に自分でチェックを済ませていましたがドキドキ・・・。

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↓ここは2台同時に検査ができます。隣はお姉さんですね!!隣もやっぱりボルボ。スウェーデンでは国民車です。ボルボだらけ。

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↓すでに車検は始まっています。クラクションを鳴らしたり、ウィンカーを付けたり、運転席でできることをパパパっと済ませます。

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↓ボンネットを開けて、各種オイルや液体の残量を見たりエンジンオイルが適量か、色々と見ています。

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↓助手席や後部座席のシートベルト等、異常がないか見ています。

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↓今度はリフターで持ち上げ、車の下を点検します。

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↓ここで車が左右に揺らされます。ホイール内部のベアリングやブッシュ等に緩みが無いか、異音が無いか、けっこう慎重に細かく見ています。また、前後のブレーキの左右バランスも計測します。一定内のバラつきならOKですが、あんまりバラバラだと落とされます。

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↓見た目はごっついお兄さんですが、とても優しい方でした。サービス業ですから対応がとても丁寧で、日本の車検場にいるオッサン達とは比べものになりません。

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↓隣のお姉さん、時々スマホをいじります。何やってんのかな。

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↓左右に転蛇し、操舵系も点検します。オイルの滲みやその他異常がないかの点検もします。

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はい、これでもう終わりです。ここまでの所要時間は、鍵を渡してから5分!!

 

結果は文句なしの合格!

こんなに綺麗に乗ってる人は珍しいって言われました。日本人らしさってことですね。

 

しかし、コーヒーが半分も減ってねー!

 

仮に不合格の場合は、ココとアソコがこんな風にダメなんですよって教えてくれるみたいです。調整で済むレベルなのか、パーツを交換しないといけないレベルなのかのアドバイスもくれます。

 

いやー、しかし手際がとっても良く無駄な動きが一切ありませんでした。

一部始終を自分で見ていますし、5分で終わったからと言って全く不安にはなりません。

 

日本の車検って、ディーラーに預けた場合だと早くても数日かかりますよね。自分でやれば一日でできるけど、有休使わないと無理。

スウェーデンなら出勤前や昼休みにでもヒョイとできます。

 

費用は440kr(スウェーデンクローナ)で、日本円で6000円程度。

日本の車検は税金やら保険を同時に払うので単純に比較はできないけど、車検代行手数料とかで数万円取られるので安い安い。

 

クレジットカードで支払いを済ませたら車検証もなく終了。システムでナンバーとセットでオンラインで管理されています。

 

当たり前だよなぁ、だって今21世紀だもんなぁ。日本だと車検証を無くすと超めんどくさい。一度無くしたことがあって死ぬ思いをした。

 

日本だとOCR用紙を記入して〇番窓口で収入印紙を買ってから次に〇番窓口行って・・・みたいな、21世紀とは思えないくっだらねぇプロセスは一切なし。車検場の職員の態度って極めて横柄だし、行くたびに不愉快になったのを覚えてる。 

 

※マイカーについて。

・Volvo V50 (超国民的ファミリーカー。一日に10台は見かける。)

・2リッター ディーゼルターボ 5気筒(バスみたいな音がします・・・)

・2007年式

・走行距離180,000km(1万8千じゃなくて18万です)

・値段は100万円ちょっと

 

そうなんです。18万キロも走って10年落ちのくせに100万ちょっとするんです。スウェーデンではこんな走行距離の中古車はザラにあります。日本じゃ値段が付かないレベルですよね。

 

ちょいちょい直しながら長ーく乗るのが一般的です。超オンボロ車もよく見かけます。洗車もあんまりしないからきったない!

 

なので、こっちの人は日本に行くとみんな

「日本の車って超綺麗だよなぁ!」と言います。

 

車検のルールですが、基本は年に一度です。新車は3年間免除で日本と同じです。また、すごーく古い車、30年以上前の車は車検が免除されます。こんな古い車に乗るのは車が好きで好きでしょうがない人が丁寧に乗るからだそうです。面白いですよね。

 

以上!

海外企業へ転職する為の具体的かつ現実的な5つのステップ ⑤面接

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いよいよ最終章、面接についてです。

面接といっても、日本ほどかしこまった雰囲気ではありません。形式にはこだわらず、コーヒーを飲みながらでも良いのでアピールしたいことを伝え、聞きたいことを確実に聞けることが重要です。私なんて1次面接の時は後ろで娘が走り回っていました・・・。

人材斡旋業者を通した場合は、表に書いた通り、大きく分けて3段階に分かれるでしょう。

以下、上の表の補足説明とそれぞれの面接での留意点を書いておきます。

 

1次面接 (Skype)

この面接では、人材斡旋業者が相手となります。この業者はあなたの将来の上司と契約を結んでおり、多数の応募があった中から、2次面接に相応しい人物を絞り込むのがこの人の目的です。要は予選です。書類審査も通過し、一風変わった日本からのエントリーなので相手も興味津々なので、余程変なことをしない限り通過できるはずです。この面接での留意点は以下の通り。

 

・何故海外なのか、どうしてその国なのか

→本気度が問われる質問です。合理的かつ具体的な回答を用意しておきましょう。仮にあなたが採用されてから短期間で辞めてしまうと、人材斡旋業者はクライアントに対して数百万円単位の違約金を払わないといけない契約になっていることが多いです。

また、日本の就活テクニックは通用しません。日本企業の面接でよくある”やりたいこと”を聞かれることはなく、"必要としているスキルがあるのか・無いのか"でしかありません。「御社のブランドに憧れまして~」とか「御社の社風が~」というのは2の次です。それよりも、生活の基盤をどうしてその土地に移したいのか、欧州の人はこの点にすごく興味とこだわりを持っています。”この土地で生活をしたい。それで自分にできることを探したら御社がピッタリだった”という説明の方がすんなりと受入れられると思います。第2章の文化編でも書きましたが、仕事は飽くまで生活をする為の手段に過ぎないのです。

私の場合は「子育てが最優先課題。子育て環境が充実している北欧で、かつ自分が活躍できる業界である自動車産業が栄えているのはスウェーデン。」と説明し、後ろでウロチョロしていた娘を捕まえて膝の上に乗せ、「この子の為なんだ」と伝えました。また、「子供が成人するまでは日本に帰るつもりは無い」とも伝えました。そして、スウェーデンと日本の子育てに関する制度や環境を比較し、どの点がどのように優れているかを話すことで、本気度は十二分に伝わったはずです。

 

・今までのキャリア・専門性

相手はCV(第3章参照)に基づいて色々と質問をしてくるでしょう。基本的に聞かれたことに対して答えていけばOKです。第3章でも書きましたが、いくら横文字とはいえ、社内でしか通用しない謎の言葉を使うのは避けましょう。何を成し遂げてどんな業務表彰をもらったとか、数値的な指標を用いて誰でも分かるようなエピソードを伝えましょう。

 

・通信環境を整えておく

→当たり前の話ですが、約束の時間につながらなかったらそこで終了です。つながってから、その場でボリュームの調整や解像度の調整もスムーズに行えるよう、事前にしっかりと準備しておきましょう。部屋の明るさも注意が必要です。相手に自分の表情がよく見えるように配慮しましょう。また、メモを取っている姿が映るように工夫しましょう。ずっと下ばかり向いている姿を見せるのはよくありません。少なくとも相手に「あー、この人下向いてるけどメモを取ってるのね」と理解してもらえると良いでしょう。

あと、けっこうな量をしゃべるので喉が渇きます。水やコーヒー、好きな飲物を手元に用意しておきましょう。

 

2次面接 (Skype)

1次面接をクリアできれば、相手が将来の上司となるだけで1次面接と聞かれる内容は変わらないでしょう。

ここでの留意すべき点は以下の通り。

 

・いつ最終面接に行けるか、いつから働けるか

→面接が始まるまでに、休暇を取る時期を調整しておかないといけません。特に北欧では休暇などポンっと取れるのが普通なので、日本特有の”なかなか休みが取れないんですよぉ・・・"というのは理解してもらえません。ここは甘えても仕方がないので、最悪は仮病でも何でも使って休む覚悟が必要です。

また、最終面接に向けては最低でも4日は必要です。詳細は後述しますが、初日か最終日を休日につなげたとしても、3日連続で休む必要があります。

また、いつから働けるかもイメージしておきましょう。私の場合は、買ったばかりのマンションを売却しないといけなかったので、不動産屋と相談してどれぐらいの期間で売れそうなのか予測を立てました。家が売れるまで契約書にサインできません!と主張しても構いませんが、それだと最悪の場合、家が売れた後に会社から「やっぱり雇えなくなった」なんてことになるかもしれません。日本企業のように、”内定”というものは存在しません。契約書にサインするまでは、お互い断る権利も持っていますし、そもそも何も始まっていないのです。

どうやったってある程度のリスクは発生します。色々とシミュレーションをしておきましょう。最後は度胸が必要です。

 

最終面接

いよいよ現地へ飛んでの面接となります。ここまででお互い知りたいことはほとんどカバーできているはずなので、最終面接とは名ばかりで、実際は「オリエンテーション及び住めるかどうかの見極め」をしにいくだけです。また、家族も連れて行くべきです。長い間その土地で暮らせるかは、自分の目で確かめる必要があります。

この段階での留意点は下記の通り。

 

・最低でも4日間は必要

1日目 移動

2日目 面接・オリエンテーション(この間、家族は街や学校、その他施設を巡り、暮らしていけるかを検証)

3日目 暮らしていけるかの検証(今度は家族と一緒に)

4日目 移動

 

初日か最終日を休日に合わせれば3日の休みでOKということです。私はシルバーウィークにぶつけました。

 

・旅費

→日本人的感覚だと、「旅費を出してもらうと後で断りづらいなぁ」と思ってしまいがちですが、ここはきちんと請求するべきです。日本の会社だって面接にかかる交通費を支給しますよね?それと同じです。航空券とホテル、場合によってはレンタカー代は予め自分で見積もっておき、出してもらえるのかは2次面接の段階で交渉を済ませておきましょう。

 

・給与の交渉

→これがメインの議題だと思います。やってはいけないのが、「今、日本で○○円もらっているので・・・」という考え方です。物価も何も全て異なるので何の意味もありません。

私の場合は、「妻がしばらくは学業に専念する為、98%が共働きのスウェーデンでシングルインカムとなる。リッチな暮らしをするつもりは無いが、エンジニアに見合った給与+我々の事情を加味して○○の収入が必要」と話しました。また、事前にスウェーデンの各産業別平均給与や、スウェーデン人の親しい友人にいくらもらっているかを聞いておいて、私の要求が現実的な金額であることも確信を得ていました。

単に金額をバーン!と要求するのではなく、現地の物価水準、自身の家庭環境等を踏まえた上で要求金額を設定しないといけません。海外から人を雇うのが特殊なケースの会社であれば、ルールがはっきりしていないこともあるので、例えば家を買うまでの住宅手当などを要求するのも手かもしれません。特にやってはいけないことや、暗黙のルールは存在しません。とにかくダメ元でも聞いてみて、了承されたらラッキーという感覚でOKです。職務やお金に関しては、契約書に細かく記載され、互いのサインが入って初めて拘束力が発生します。

ここで話した内容が後日作られる契約書にきちんと反映されているか、サインをする前に確認することも重要です。

 

・その土地で暮らしていけるかの検証

片方が会社で面接やオリエンテーションを受けている間、家族はボーっと待っていてはもったいないので、住むであろう土地の周辺事情を探っておくべきです。自分でレンタカーを運転しても良いですし、面接を受ける会社の誰かに相談するのも良いでしょう。私は、上司の子供を就学前学校(スウェーデンでは幼稚園・保育園の区別無し)に一緒に迎えに行かせてもらい、施設内の見学もさせてもらいました。また、その後は上司宅で夕食に招いてもらい、スウェーデン人の生活ぶりが少しでも見て取れたのは大きなプラス材料でした。

 

これ以降は何とかなるでしょう。引越しや移住の手続きは思ったより簡単です。まぁめんどくさいんですけどね。かかる費用については都度、会社と交渉をしましょう。ただ、何でもかんでも請求すれば良いというものではありません。

 

最後に

日本からどんどん海外へ出て行き、外から日本を眺める人が少しでも増えれば、日本の良いところ・悪いところが客観的に見えてきて、日本の将来の為になると信じて、前5章に渡り書いてみました。

今後もアップデートや続編を書いていきます。長々と失礼しました。

海外企業へ転職する為の具体的かつ現実的な5つのステップ ④求人探し

今回は、全5章の内の第4章になります。

具体的で現実的な海外企業の求人を探す方法となります。

 

すげー簡単です。30秒もかかりません。

 

海外企業の求人を掘り当てるには

何度も書きますが、非常に簡単です。

日本のリクルート社のように、転職をサポートしてくれる会社は世界中に存在します。彼らをJob Agentと言います。また、日本にも支社を持っている海外の企業も少なくありません。外資系Job Agentと呼べば分かりやすいですかね。

有名なところですと、Michael PageRanstadなどになります。ですが、外資系Job Agentの門を叩いても海外企業の求人情報を得る事はできません(詳細は後述)。

なので、海外企業の求人情報を見たければ、Job Agent日本支社のURLの「jp」の部分を自分が興味のある国に置き換えてしまえば良いのです。スウェーデンなら「se」、ドイツなら「de。たったこれだけです。 

面倒なら↓のように検索しても大丈夫です。

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実際にアクセスしてみた結果がこちら↓。英語の切り替えが出きればラッキーです。トップページで業種やエリアを絞って検索ができます。

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例えば、はスウェーデン国内で"Engineering & Supply Chain”で検索をした結果です。これでVolvoを初めとした求人に出くわします。あら簡単。

 

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あとは担当者とコンタクトをし、CVを送り付けましょう。

CV詳細はブログ前号を参照↓

http://sverigeyoshi.hatenablog.com/entry/2016/09/25/184427

現地の担当は日本に住んでいる日本人からコンタクトがあるとけっこう驚きます。それだけ珍しいことなのでしょう。

 

いやー、簡単簡単!

世界各国の求人情報を眺めているだけでもワクワクしきますよ(^^)

 

 

LinkedInはかなり使える!

転職活動SNSとでも言いましょうか、LinkedInを活用する手もあります。日本だとあまり転職活動をおおっぴらにできない風潮があるので、LinkedInをやっているだけで、

「アイツ転職したがってるぅ!」

と思われてしまうかもしれません。であれば、偽名でも何でも良いのでとにかくアカウントを作りましょう。

ポイントは現在の居住地を自分の興味のある国に設定してしまうことです。きっとLinkedInは登録してある職業や地域に合わせてユーザーに最適な求人情報を提供してくれます。私も、居住地をスウェーデンに変えた途端に、求人情報が全てスウェーデン国内のものに変りました。

私のLinkedInのキャプチャ画面がこちら

 

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上記2つの方法はオススメです。無料かつ時間もかかりません。是非是非試してみて下さい。

 

これ以外にも色々と求人情報をつかむ方法があると思います。ですが、海外での求人探しの前に、そもそも日本の転職市場がどうなっているのかを知っておいた方が良いでしょう。ただし、これは私の経験による、偏った見方であることを予めご了承下さい。

 

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 海外企業の求人に辿りつかないパターン1 天下のリクルート様!

これは最も王道だと思いますが、転職時はリクナビNEXTを初めとした大手人材斡旋業者さんのお世話になるのが定番でしょう。ただ、実際に求人情報を持っているのはリクルートと契約を結んでいる小さな企業となります。それらの企業には個々に得意領域があり、特定の業界に強いとか、外資系に強いとか色々とあります。

日本国内での転職活動であれば、このパターンが最も有効だと思いますが、海外での求人探しではこのやり方だとほぼ不可能でしょう。彼らの主戦場は日本国内であり、海外の求人は持っていないことはないですが、海外とひとえに言っても色んな地域がある訳で、彼らの得意とするのはアジアを中心とした海外企業(おそらく日系のアジア支社での現地採用とか!?)が多いので、欧米での職探しには適していません。逆に言えばアジアでの職探しはこの方法も有効でしょう。

なので、「北欧やドイツで仕事がしたい」なんて伝えるとピタリと連絡が来なくなります。

 

海外企業の求人に辿りつかないパターン2 外資系人材斡旋業者

パターン1よりかは可能性はありそうですね。しかし、海外の求人情報は各国の支社にばら撒かれています。当然と言えば当然の話で、日本支社には日本国内の求人、スウェーデン支社にはスウェーデン国内の求人、ドイツ支社ならドイツ、と、国ごとの縦割り組織となっているようです。

私も実際に日本法人の彼らとコンタクトを取ったことがあるのですが、私には彼らの横のつながりが見えませんでした。こういったJob Agentの日本支社で働いている方々(外人率高い)は何故かクライアントを海外の他の支社とつなげてくれようとしないのです。私の勝手な憶測ですが、海外支社に紹介してしまうと自分の点数にならないのかなぁ・・・。海外企業が希望と伝えても、日本国内の外資系企業をゴリ押ししてくるのでウンザリした記憶があります。

 

さて、簡潔ですが、本日はこの辺で。

次回はいよいよ最終章、面接について書いてみます。

 

 

 

 

 

海外企業へ転職する為の具体的かつ現実的な5つのステップ ③CV=職務経歴書

今回はCV=職務経歴書についてです。

 

海外企業に転職をするのであれば、このCVというものが必ず必要になってきます。国内の外資系企業でも提出が求められる場合があります。CVとはCurriculum Vitaeの略で、ラテン語で「人生の物語」という訳になります。

また、CVの提出は突然求められるケースが多いです。転職とは必ずしも自分のペースでできるとは限らず、通勤時になんとなーく電車でスマホをいじっていて良い求人情報に出会う場合もあります。そこですぐにCVをパッと出せるようにしておかないと、周りのライバルに一歩二歩出遅れてしまいます。実際、私もそうでした。思いがけずスウェーデンの企業の求人と出会い、とりあえずパパッとCVを送りつけたのを覚えています。

「一生を左右する転職なんだからじっくり考えないと・・・」とやっているとライバルにおいて行かれます。海外での転職活動は日本よりも気軽でスピードも速いです。そのスピードに乗り遅れないようにしっかりと準備しておきましょう。一度書き上げてしまえば、後は時々アップデートするだけで良いのです。

求人を見つけてからCVを書いていてはまず間に合いません。じっくり考えるのはCVを送った後で良いのです。もっと言えば最終面接が終わって契約書にサインをするまではひたすら考えて良いのです。

また、転職する気がなくとも、CVを今から書いておいて損はありません。自分の経歴を客観的に見つめるだけでもそれはそれで価値があることです。

 

CVには決められたフォーマットはなく、自分の好きなように書いてOKです。ネットで「CV 書き方」で検索すれば多数出てくるので、それらを参考にご自身で書いてみて下さい。

ここではネットでは探せない、私が実際に外資系企業・海外企業へ転職する上で留意した3点をまとめてみます。

 

1.何をどれぐらい書いたら良いの?

社会人としての経歴、学歴、資格、語学レベルが最低限必要な情報となります。日本の履歴書と異なるのは時系列を逆に書くことです。つまり、現在進行形で行っていることが一番上に来ます。目安はA4で2枚。1枚目は職務経歴、2枚目に最終学歴、資格や特技、語学レベルをシンプルに書くと良いでしょう。

語学についてですが、第1章でも書いた通り、TOEICの点数は書く必要はありません。私も最初は書いていたのですが、昔イタリア企業のSkype面接で「TOEICって何ですか?」と聞かれて以来削除しました。

なので、English: Fluent Japanese: Nativeとだけ書いておけばOKです。実際にどれだけ話せるかはSkype面接ですぐにバレるので、あまりゴチャゴチャ書く必要はありません。

 

2.自社で使っている肩書きは正しく伝わらない

日本企業には"不思議な"肩書きが数多く存在します。例えば、担当課長、担当部長、主査、主事、参事、参与、特命○○・・・これらは私が日本で名刺交換をした際に、「ん?」と思ってしまった肩書きです。特命○○って本当にいたんです。高橋克典のドラマを思い出しました。正直、こういう人たちって、偉いんだか偉くないんだか分かりません。また、名刺を裏返すとみんな「Manager」と書いてありましたが、ここは要注意です。

欧米企業でのManagerの定義は、日本で言ういわゆる課長クラスのことで、部下の評価を行い、課の予算を管理し、採用活動にも絡みます。ところが、日本企業では部下のいない管理職もけっこう見かけますよね。いくら名刺にManagerと書いてあっても、それはその会社の中での都合であって、職務経歴としては正しい表現ではありません。

逆に、名刺にはそう書いていなくとも、欧米でのManagerの定義にあてはまることをやっているのなら、CVにはManagerと記載するべきです。そこを独自のへんてこな呼称で○×△#$ Managerと書いても、話がややこしくなるだけなので、シンプルに書きましょう。

管理職でない人たちにも、いろいろな肩書きが設定されていると思いますが、社内での肩書き・呼称はひとたび外へ出ると誰にも通じないことが多いです。私も、日本企業時代にProject Leaderという肩書きと言うか、社内での呼称があり、それをCVに書いていましたが、今になってそれはあまり良い表現ではないということが分かりました。大きなプロジェクトに各部署から担当者として選ばれるのがProject Leader(略してPL)だったのですが、これは部下を持つ訳でもなく、名刺に書かれるちゃんとした肩書きでもありませんでした。ですが、社内ではどれぐらい大きなプロジェクトのPLをやったとか、何回PLをやってきたかで、”できる・できない”の物差し的感覚がありました。

このProject Leaderという呼称ですが、一度目の転職をした外資系企業では意味合いが全くことなっていました。その会社でのProject Leaderは、「プロジェクト全体をまとめる責任者」を意味する言葉となっていて、これは管理職の仕事であり、経営陣へ直接報告をする立場の人でした。会社が変わると同じ呼称でも全く階層が異なってくる場合もあります。

 

・社内で使っている肩書き・呼称は、たとえ横文字であろうと世の中で一般的でない可能性がある

・部下がいないのであればManagerとは書けない

・適切な表現が浮かばないのであれば、「何人の組織のリーダーをやった」等、中身を具体的に記載する

 

3.CVは誰が見るの?

海外の企業は、日本企業と採用の仕方が大きく異なります。日本では、全く同じ格好をした就活生があちらこちらに現れ、毎年4月1日に、新入社員がドザドザっと入ってきますが、海外では働き始める時期は個人でバラバラです。もっと言えば、大学に入る時期も、卒業する時期もバラバラで、大学を出てからすぐに働く人もいれば、しばらくプラプラする人だっています。この辺の、スウェーデンの大学生や就職活動については別途書きます。なので、スウェーデンでは毎年4月1日に一括採用というのはありません。

また、海外企業では先行プロセスに人事はほとんど絡んできません。裏では予算等で関わっているのでしょうが、表に出てこないのです。実際に、私がスウェーデンの企業に採用されるまでに行われた面談は3回。1回目はSkypeで会社が依頼した人材斡旋業者(次号で詳細を書きます)、2回目は今の上司とSkype、3回目は現地へ飛んで今の上司とFace-to-faceの面接(これは次々号で)の3回でした。ですから、人事の人とは面接をやっていないのです。もちろん私のCVは人事部にも届いていると思いますが、採用活動において、明らかに実権を握っているのは今の上司(Manager)でした。

ですので、CVは将来の自分の上司となる人が最も興味深く読む相手となることを意識して書くと良いでしょう。つまり、同じ分野・業種での転職(例えばクルマの設計をやっていた人が会社AからBに移る)であれば、だいたいの話は同じ専門用語で通じますし、あまり心配する必要はないでしょう。

 

・海外企業の採用活動では人事部は表に出てこない

・CVを一番見るのは将来の自分の上司となる人

 

 

これまでの「言葉」、「文化」の理解を深め、「CV」まで用意ができれば準備OKです。いよいよ攻める段階に来ました。

次回は「求人探し」となります。この点について、具体的かつ現実的にお伝えします。”その手があったかー!”という内容になると思います。乞うご期待!


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海外企業へ転職する為の具体的かつ現実的な5つのステップ ②文化 後編

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社員と企業、企業と社会の関係性 退職金なんて無いぞ!

日本では退職金制度や社宅・住宅補助、家族手当等は多くの企業で一般的ですが、スウェーデンでは色々と事情が異なります。退職金は一切ありませんし、社宅も住宅補助もありません。会社までの交通費も出ません。ですが、企業年金はありますし、子ども手当は各自治体から出ます。

私個人の意見ですが、老後の生活は勤めていた企業に関わらず、国や自治体が安心して暮らせるよう保証するべきだと思います。企業や勤続年数の違いによって退職金の額が大きく変動するとなると、たとえ20代であっても転職する時に「俺の退職金はどれだけ減っちゃうのかなぁ」と、40年も先の自分を心配しなくてはなりません。それよりも20代の若者が”今”を考えられる世の中の方が良いと思いますし、1社目でうまくいかない人はその後の会社で報われるチャンスも出てきます。

少し表現が荒くなりますが、日本企業では一般的に”終身雇用と退職金を担保に、転勤や年功序列を受け入れる文化”にあると言って良いでしょう。転勤を命ぜられ、買ったばかりのマイホームを手放すのはよく聞く話です。これをスウェーデンでやったら裁判沙汰となります。

スウェーデン人は会社に対しての依存度が日本ほど高くありませんので、自分の思う通りのキャリアが描けなかったり、新たにチャレンジしたいことが見つかればどんどん転職していく文化にあります。特に20代では、2-3年で会社を変えていくべきだという風潮すらあり、30代以降でも5-10年同じ会社に勤めたら会社を変えるのが一般的です。私が今の会社に入社した時に一緒にスタートしたのは50歳の人でした。35歳の私とやっていることは同じなので、15個上の”同期”の彼とは給料はほとんど変わらないはずです。そしてこれは別に恥ずかしいことでもありません。

ご近所さん(薬品メーカー・理系職・40代半ば)とこの前立ち話をしていたら、「俺、パンを焼いたりお菓子を作るのが好きでさ、仕事が終わってから学校に通ってるんだよ。今は趣味としてだけど、近々そういう飲食店で働きたいんだよなぁ」なんて言っていました。す、すげーな・・・。

私も、一つの会社に縛られることなく、世界中にある何千何万とある会社の中で、一社でも多く経験してみたいと思います。もちろん、今の会社で居心地がよければ定年までいることも充分考えられますし、そういった人だってスウェーデンにも多く存在します。これこそが、本当の意味で、日本国憲法22条にもある「職業選択の自由」なんだと思います。9条だけでなく、こっちも議論するべきかと・・・。

日本の企業は、本来行政が負担するべき領域にまで深く入り込み、給料以外のところでも従業員の生活を保証する役割を担ってしまっています。それが故に、終身雇用と年功序列となっているのではないでしょうか。

会社とは、利益を追求する集団であり、社員は会社に対して、労働という価値を提供し賃金という報酬を得る契約を結んでいます。しかし、そこに年功序列の概念が入ってくると、そう単純にいかなくなります。本来は、労働に対して「誰がやるか」とか「年齢」は関係ないはずで、その職務さえ全うできる能力さえあれば何歳であってもいいのです。サッカーや野球選手と同じですよね。ということは、社員一人一人が会社の利益に貢献するプロでなければならず、業務内容や勤務時間は契約書で細かく合意されていなければなりません。

決められた時間及び業務内容に対して価値を提供すれば良いので、逆に言えば、勤務時間外は会社の管轄外となり、プライベートな時間なので会社が関与することは越権行為になるとスウェーデン社会では考えられています。ですから社宅や住宅補助など個人の生活に関わることに会社は関与してきません。

でも会社から遠いところに住むと交通費がかかりますよねぇ・・・。私は車で3分のところに住んでいるので、交通費はほとんどかかりません。徒歩15分なので歩けよって話なのですが。でも子どもの送り迎えもあるしなー・・・。家も高いんだよなぁ。。。おっと、話を元に戻しましょう。

 

飲酒運転をしても、不倫がバレてもクビにならない!?

勤務時間外で何をしても自由です。副業もOKですし、会社の名誉を傷つけたり、職務に影響が出ない限りクビになることはないでしょう。飲酒運転で捕まってもクビにはなりません。何故なら、それはプライベートでの出来事であり、行政処分を受けているのでそれで十分なのです。警察もわざわざ会社に通知したりしません。この点は日本とだいぶ異なるので腑に落ちないかもしれません。スウェーデンでも飲酒運転はもちろん違法ですが、スウェーデン人に日本では飲酒運転は即刻クビだと話すと、彼らは「じゃあ駐車違反でもクビになるの?」と首をかしげます。勤務時間外は会社と関係ないのになんでよ?と彼らは思うそうです。

確か昨年、某局のお天気お姉さんの不倫がバレて番組降板の後に、自主退社(事実上のクビ)となっていましたね。スウェーデン人にこの話をしたところ、まず「なんで?」となる。そして「別に天気予報がちゃんとできればそれでいいじゃん。まぁ不倫に限らず、魔がさして倫理や法律に背いてしまうことぐらい誰だってあるじゃないか。日本人はみんな完璧で潔白なのか!?」と言っていました。

なので、仮にベッキーがスウェーデンのタレントだったら今頃テレビに出ていることでしょう。ですが、視聴率が下がり、それが明らかにベッキーの影響となれば、それを理由に番組を降板することもありえるかもしれません。少なくとも、記者会見を開き、涙ながらに謝罪をするという場面はスウェーデンではありえません。そもそも謝る相手が間違っています。「この度は、皆様に多大なる迷惑をおかけし・・・」って、皆様って誰だ?少なくとも私は全く迷惑を被っていません。むしろベッキーにも恋心があって安心しました。

いや、不倫はダメだと思いますよ、ダメなんですけど、でも、見せしめに合った挙句、仕事が全部なくなって社会から抹殺されるのはやり過ぎだと思います。謝るべきは不倫相手の配偶者であり、その家族であり、その当事者間で解決ができれば世間には全く関係のない話だと思いますし、ましてや仕事がなくなるというのはおかしいと思います。

また、成人した子供が逮捕され、親が代わりに謝罪会見を開くということもスウェーデンではありえません。成人したら本人の責任です。あの女優さんも誰に謝っているんだか全く訳が分かりません。

また、日本では誰かが何かの容疑で逮捕されると実名で報道されます。まだ起訴されるかも分からないし、裁判で有罪となる前の段階で、あたかも犯人であるように実名で報道されてしまい、後に冤罪や無罪となったとしても社会から抹殺されてしまいます。疑わしきは罰せず、とか、推定無罪と言いながらも、逮捕の段階で既に終了となってしまいます。冤罪だったら非常にマズイです。

スウェーデンでは、スーパースターや有名政治家でなければ逮捕と同時に実名での報道はありません。たとえ間違いを犯した人でも、やり直すチャンスがある社会となっています。

 

死刑制度

さて、いよいよ「文化」後編の最後です。ここは日本人が最も理解しにくいところだと思います。

まずは世界地図をご覧ください。

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赤くなっているところは死刑が採用されている国です。ご覧の通り、欧州ではベラルーシを除いて死刑は廃止となっています。EUに加盟する条件の一つに、死刑廃止を掲げているぐらいです。スウェーデンでは法律ではなく、憲法で死刑を禁じています。最後に処刑されたのは100年以上前のことです。

スウェーデン人に、日本に死刑制度があるということ、また、国民の8割が賛成していることを伝えると、とんでもなく驚きます。「え!あの日本が!?先進国でしょ!?」と言う人が多いです。確かに、世界地図の赤い国々を見ていると、何だか・・・う~ん・・・複雑な心境です。

先進国では珍しいと言える死刑制度について、日本人は議論をするべきだと思います。欧州では死刑なんて存在しないのが当たり前なのです。今後、海外へ移住とまではならなくとも、日本にいてもグローバル化が加速し、こういった考え方の人たちと共に生きていかねばならない時代となってきています。彼らが死刑についてどんな考え方を持っているのか、それに対して日本人としてどういう意見を持っているのか、どちらが良い、悪いではなく、しっかりと意思を持つことが大切だと思います。

私自身、よくわかりません。賛成でも反対でもありません。自分の家族が凶悪犯罪にあった時に平静を保つ自信はないですし、犯人に対して極刑を望むかもしれません。ですが、欧州人が言うように、犯人を殺したからと言って被害者の傷が癒える訳ではないという考え方も理解できます。

人を殺したくて産まれてくる人なんて一人もいません。育つ環境に恵まれなかったり、社会が適切な保護をできなかったりと、様々な要因が複雑に絡んだ結果、殺人事件は起こるのだと思います。であれば、その犯人の存在を無くすことで、再発は防止できるのでしょうか。その犯人が育った環境や、社会が完璧だったのであればそれでも良いかもしれませんが、そんなことはないでしょう。再発防止を考えるのであれば、犯人一人に責任を押し付けるのではなく、社会全体で責任を負うべきなのかもしれません。

日本でスウェーデン人と数年間仲良くし、スウェーデンに来て半年が経過したところで、私も少しずつ死刑制度に対する見方が変わってきました。

 

まとめ

社会インフラの充実、個人の自由度、社員と企業や企業と社会の関係、はたまた死刑制度に至るまで、日本人として生まれ育った人たちにとって当たり前のことが、外国だと全然違います。

特に死刑制度。大きな過ちを犯せば死ぬ可能性がある国と、それでも社会が許そうとする国があるのが事実です。後者の国々からは、残念ながら日本は白い目で見られています。

右に倣えで死刑廃止にするのはおかしいと思います。繰り返しになりますが、国民全体で議論する必要があると思いますし、少なくとも死刑廃止国の人と接点がある人ならば、日本の死刑制度について自分の意見を持っておくべきかと思います。

 

そして、この死刑に対する考え方は、大げさかもしれませんが、会社でも似たようなところがあると感じはじめています。日本企業では、「何かあったらいけないからアレもしようコレもしよう」と言って、やりたいことがなかなか進まないことが多くありました。みんなが失敗を恐れている印象でした。スウェーデンではこの点が大きく違います。まだ半年ですが、私が上に提案したことで、却下されたことは今までありません。その後、うまくいかず、結果的に会社の金を使っただけとなっても咎められることはありません。反省会や再発防止の検討もありません。ですが、逆にその方が勝手に深く反省しますし、勝手に現実的な再発防止策を考えます。

 

スウェーデン社会は寛容で、間違いは誰でも犯すのが前提の考え方となっています。逮捕後の実名報道はありません。

スウェーデンではワイドショーでスキャンダルを散々取り上げ、国民総出でターゲットを再起不能まで叩くことはしません。

会社でも同じで、失敗をしても、非現実的な再発防止策を考えさせられるようなことはありません。

(例:遅刻をした→寝坊したから→目覚し時計が壊れていたから→目覚し時計を増やす!みたいなヤツ)

 

瞳の色や髪の毛、肌の色が違ったり、車が右ハンドルとか左ハンドルの違いは簡単に分かりますし、すぐに対処ができることだと思います。ただ、見えない部分での考え方の相違が多くあることをあらかじめ認識しておくことが大切です。

以前も書いた通り、言葉を習得するよりも大切ですし、大変です。

私も日本にいた頃と比べて、たいぶ寛容になったと思います。

 

 

さて、次回はCV=職務経歴書についてお伝えします。

言葉や文化を理解するよりかは遥かに簡単で、手ごろに始められます。転職をする気がなくても、まずは自分の職務経歴書を書いてみてはいかがでしょうか。書いてみると面白いものです。


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