今日は長女を歯医者へ連れて行った。歯医者からの眺めが綺麗だったので撮影。
今週は仕事でいいことがあった。先週、重役が揃う会議でとある事案に対し私一人だけが結論に対して激しく反対。
ただ、自分には信念があり、絶対に自分が正しいと信じていた。会社全体のバランスを考慮すると、個人の正論は全体の正論とはならなくなることが多々あるが、今回はどう考えても納得がいかなかった。
会議終了後、直ちに裏工作を開始。二度目の会議を設定するつもりで一人ずつ自分に近い人から当たり、丁寧に状況を整理し、先の結論の何が間違えているのかを説明した。
こういう時に話を真摯に聞いてもらえるかは普段からの信頼関係が大きく影響する。正論ばかり振りまいていても、嫌われているヤツでは誰も話は聞いてもらえない。
数日かけて裏工作を展開し、次第に一人、また一人と私の支持者が増えていった。
私を支持する人が過半数となった今週前半に二度目の会議を設定。今回は社長も参加。社長には事前にメールでプレゼン資料を添付して送っていたので大まかな状況は掴めていた。
開始早々、反対派の重役は一回目の会議同様アレコレ主張を始める。ここで私が吠えた。と言っても怒鳴り散らすわけではなく、飽くまで紳士的に少しだけキツイ言い方をしただけだ。いや、「私はこの決断が変わらないならココでは働けない」とまで言い放ったのでけっこうインパクトがあったと思う。
とにかく、15年の社会人人生の中で最もエキサイトした瞬間であった。私派から援護射撃が次々と発射された。
やがて社長が口を開く。
「吉澤くんが言うことは正しい。基本に立ち返れば彼の主張はとても理にかなっている。」
(ちなみに英語)
社長は我々の主張を支持してくれた。
後に社長から会議参加者宛にメールが届く。
「皆さんいつもありがとう。特に吉澤くん、君の指摘のおかげで間違った決断をすることを防げた。非常に感謝している。」
このように、スウェーデンの会社にだって社内政治は存在するわけだが、今回は社内政治で完勝した。
私もまもなく40歳。こうして社内政治に巻き込まれる機会が増えてきた。今回はかなり荒いやり方ではあったが、これはこれで良かったようだ。これで私のド直球狂犬キャラも確立されてしまったであろう。
後日、反対派の全員から電話やメールがあり、
「君の主張は素晴らしい。良い議論ができ、会社としてベストな決断ができた。今後ともよろしく。」
と連絡が来た。こんなの最高だ。
しかし。この点が日本とは大きく異なる点ではないかと感じている。
会議で揉めた後、反対派の人達とは気まずくも何ともないし、今後機会があればプライベートで会ったりもするだろうし、人間関係としては何も悪影響は及ぼしていない。
ただ、仕事でのスタンスが異なるだけであり、お互いリスペクトできている。
日本ではどうだろう。反対=嫌い、と子供っぽい感情になっていくのではないだろうか。もしくは自分が支持している人が間違ったことを言っていても意見するのは難しいのではないだろうか。
スウェーデンでは全く違う。私も自分のチームを持っているが、みんなアレコレ意見を延々とぶつけてくる。民主主義を徹底しているということだ。
お偉いさんでも下っ端でもベテランでも新米でも、みんなに発言権があり、表現の自由がある。若造め!と言って笑いながら話を聞くことは絶対にない。若い人には若い人の新しい視点がある。だが経験が浅く現実的ではない提案も多い。ベテランは経験こそあるがコンサバなことばかり言う傾向がある。両者に一長一短があるわけだ。
上に立つものは色々な立場の人の意見を吸い上げ、みんなが納得できる最良の結論を導き出すことが求められる。上層部が密室で決めた内容をトップダウンでやれ!というのはスウェーデンでは難しい。
但し、このやり方は時間がかかるという欠点もある。議論の成熟度と個人の満足度は高いかもしれないが、組織として素早く結論を出すやり方ではないと感じている。
スウェーデンにはスウェーデンの良いところ、日本には日本の良いところがあり、それぞれの良いところ悪いところを客観的に語れ、最適なバランスを取れるようになるのが私の課題の一つだ。
しかし日本を離れ早4年、どんどん日本の習慣ややり方を忘れつつある。また、私が知っている日本は既に古新聞である。
日本人がスウェーデンで働く、と聞くと日本人としての良い部分を活かして〜…などと軽いノリで考える人がいるが、これはかなり難しいこと。
スウェーデン人の同僚から信頼を得られないと誰も話を聞いてくれない。日本人だから何?というのが彼らの正直な感想だ。誰も国籍で判断はしない。どこの国の人であろうと人間性、仕事に真摯に向き合う姿勢が信用を生むのだ。
スウェーデンの企業に勤めて4年。重役が集う会議で吠えて結論を覆すだけの信頼は築けてきたようだ。
しかし、同じ部署で出世はしたものの、この4年間はほとんど同じことをやっている。そろそろ新しいチャレンジに興味が出てきた。
スウェーデンの会社では黙っていても転勤や部署の異動は起きない。自分でアクションを起こさないとずーっと同じ席で同じことをやることになる。
次は何をしようか。そろそろ真面目に考えないと腐り始めるころだ。いや、もう腐ってるだろう。
石の上にも三年。日本ではポジティブなことわざかもしれないが、こちらスウェーデンではどうだろう。長くやれば良いというものではない。
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■ このブログを書いている人
吉澤智哉
2016年にストックホルムへ家族で移住し、現地企業 Öhlins Racing ABでエンジニアとして働く傍ら、スウェーデン企業への転職・移住サポート事業LIV INNOVATIONの代表を務める1981年生まれ、二児の父親です。
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