スウェーデンに家族と共に移住したエンジニアのブログ

娘の教育と妻のキャリアの為にスウェーデンへ移住。

今年からスウェーデン語で働いてみることにした

 

 

スウェーデンに移住し約7年。これまで会社では基本英語で働いていた。

 

基本というのは、時折スウェーデン語を使う機会があった為。工場の現場で働く人との会話は何故かスウェーデン語となっていた。まあ彼らも全く問題ないレベルで英語ができるのだが、何故だかスウェーデン語で話していた。

 

工場の現場の人達と話す機会はほとんど無いので、仕事をする上での会話の中の95%は英語といった感じであった。

 

2023年、新年が明けて最初の出社をする日、通勤路の車の中でふと「今日からスウェーデン語に切り替えてみよう」と思った。

 

こうなった背景の一つとして、まず、夏休みや冬休みの長期連休になると英語をほとんど使わなくなるのだ。これまでもプライベートは全てスウェーデン語でのコミュニケーションに徹底してきた。

 

ご近所さんや友人、学校の先生とのやりとりや三者面談等、ありとあらゆる場面でスウェーデン語を当たり前のように使ってきた。

 

それは妻があまり英語が得意でなく、今となってはスウェーデン語の方が遥かに理解できるレベルになったのと、子供達はスウェーデン語しか理解ができないので、必然的に共通の言語としてスウェーデン語となるのである。

 

特に夏休み明けの出社時はおよそ1ヶ月ぶりに英語を使うので頭の体操のような感覚になる。なかなか単語が出てこないのだ。

 

長期連休の間、妻と子供達とは日本語で、ご近所さんや友人とはスウェーデン語なので英語を使う機会がまるでない為だ。

 

とはいえ、私のスウェーデン語はまだまだぶっ壊れた感じのレベルで、働けるレベルにあるのか疑問であった。

 

ご近所さんと天気の話をするのと働くのでは必要とされる語学レベルは全くもって異なる。

 

だが、実は仕事で話す内容は多少の専門用語が混ざるものの、基本的に会話は割と単純で、それを敢えて小難しく話す人が時々いるだけだ。

 

日本でも同じだ。簡単な内容をやたらダラダラと色々な形容をして話す人はどこにでもいる。スウェーデン語ネイティブの人にこういう話し方をされるとキツいが、その時は「頼むから簡潔に話してくれ。俺は移民だぞ。」と伝えればOK。

 

私はプロジェクトマネージャーとして会議を招集する側の立場にあり、全員の進捗や不満などを的確に把握し、彼らに楽しく働いてもらうことが私の使命である。

 

スウェーデン語にしてみてこれが問題ないのか、多少の不安はあったが、これまで2週間が経過し今のところ問題ない。

 

私に気を使ってゆっくりと話してくれる人もいれば、ダムが決壊したかのようにマシンガンで話す人、色々いるが今のところ大丈夫。言葉として正しく聞き取るのはもちろん、裏に隠された本音や皮肉までも理解できていると思う。

 

私からの発信は確かに英語に比べれば、表現のバリエーションは多少劣るものの、問題無く伝わってあると実感している。

 

自動車業界で働きもう18年。はっきり言ってもはや同じ事の繰り返しだ。仕事そのものにチャレンジを感じることは少なくなってきた。

 

このままだと惰性でグダグダと定年まで過ごすこととなる。そこで最近興味を持ち始めたのはいわゆる後任の指導。ところがこれが難しい。日本のやり方はまるで異なるのだ。

 

スウェーデンには先輩後輩文化がない。年上の先輩社員では無条件で敬語になり、形の上ではリスペクトされることなどこちらでは皆無。

 

普段の仕事ぶりから出てくるオーラや決断力、状況の整理の仕方やチーム内で揉め事が起きた時の収め方で尊敬されるか否かは決まる。

 

ここ数年、プロジェクトマネージャーとして色々なプロジェクトを回してきているが、発生する障害はいずれも過去に経験したトラブルと類似しており、自分の中ではすぐさま解決策をいくつか思い浮かべることができる。

 

これができれば終始落ち着き払うことが可能となる。若手はこれまで経験したことのないトラブルに見舞われ、あたふたする者も少なくない。そんな人達を見て、昔の自分を思い出しながらどんな言葉をかけたらよいのかを深く考える毎日だ。

 

これを今までは英語でやってきたが、ここに自分なりのチャレンジとしてスウェーデン語を持ってきてみた。リーダーとして勤まるようなまともなスウェーデン語を話さないといけない。逆に言えばこういう状況に自らを追い込まないと身につかないものだ。

 

辿々しい時も確かにあるが、今のところは個々のトラブルに対してスウェーデン語で対応ができていると思う。

 

若手に限らず私を慕ってくれる人が増えてきた。困った時に私に助けを求めに来てくれるのは光栄な事。

 

いやー、ホント面白い。

 

日本でホンダにあのまま勤めていたらどうなっていたのか。今頃管理職にでもなっていたのか…。いや、正論をすぐに吐いてしまう癖があったのでおそらく敵が多くて昇進できなかっただろう。とにかく敷かれたレールを上をひたすら進んでいく感覚になっていたのだと思う。

 

私はおそらくこのプロジェクトマネージャーという職を定年までやるだろう。プロジェクトチームを指揮するのは楽しいし、もうこれ以上昇進を目指す必要は無い。お金の面でもここから大幅に伸びることも考えにくい。いわゆる社会的地位は今の状態で大満足だ。三流私立大学とされる日大出身としては上出来である。

 

40過ぎとなって、マンネリ化してきた毎日に刺激を与えるべく、仕事での言語をスウェーデン語にしてみた。これで向こう数年は何とかモチベーションを保って働けることを祈るばかりだ。

 

その後はどうしたものか。最近の悩みはコレだ。いつか自分のモチベーションがプッツンと途切れる時がきそうで怖い。

 

となるとやはり昇進を目指すべきなのか…だが正直面倒くさい。部下を沢山抱えて文句の集中放火を浴びるなんて私にはできないしやりたくない。

 

スウェーデンの課長を見ていると大変そうだ。本当に。日本とは違い、下から容赦のない不平不満をぶつけられる。まさにサンドバッグ状態。

 

スウェーデンで管理職を務めるには仕事ができる事と忍耐力はもちろん、人格者であることが最重要。ついカッとなって一度でも暴言を吐いたらそこで終了だ。人事に告げ口されてあなたのキャリアは一瞬でおしまい。

 

正直、私は他のスウェーデン人社員とは違い、同じ業界で似たような職種を完成車メーカーと部品メーカーという立場で18年もキャリアを重ねてきた。スウェーデンの人達はころころと会社や産業を変えるので、割と積み重なったものを感じられない時がある。

 

だが管理職を務める連中はすごい。どんなキャリアを積んできていても、判断力はピカイチだし、何よりも常にポーカーフェイス。何故あんなに冷静でいられるのか…謎である。

 

こういうスウェーデンのお偉いさんを見ていると、自分には務まらない仕事だと実感する。それか多国籍な環境の会社に転職すればいい。

 

今勤めている会社は課長級以上の管理職は全てがスウェーデン人。そもそも全社員数百人の内、非スウェーデン人は3人ほど。まあ私はスウェーデン国籍なので非スウェーデン人でもないのだが、生まれ育ちがスウェーデンではないという意味だ。

 

こうしたスウェーデンどっぷり文化の企業で、異文化の背景を持った人が管理職となるのは難しいのだろう。プロジェクトマネージャーは半分管理職のような立場で、各課長とバチバチとやり合うのが仕事なので、敵もどんどん増えてしまう。

 

といった具合で、この先、40代半ばから後半にかけて何を目指していこうか迷走している感じだ。

 

まあ何も目指さなくていいのだが。

 

自宅で薪ストーブを眺めながらビールを飲み、Netflixを見ていれば幸せなのだから。

 

あとは健康に気をつけることだ。今日は家族みんなで水泳と散歩に出かけたのでヘトヘトだ。

 

私以外はみんな先に寝てしまい暇なので久々にブログを書いてみた。

 

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カミさんと近所をお散歩。お散歩クオリティが高過ぎて大満足。

 


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こんな景色に囲まれた日常は本当に素晴らしい。10年前まではタワーマンションに憧れていたが、真逆を行って大正解。